インド連邦林野局の森林官、カイラシュ・サンカラは1954年にトラとワニが戦う場面に遭遇している。トラが川を渡っているときに、それを見たヌマワニも水に入りトラに接近したのだった。そのワニはトラと平行に泳いで、長い尾でトラを叩き始めた。 |
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ヌマワニ(Mugger) Indian Marsh Crocodile イラン東部からバングラデシュ、ネパールからスリランカまで分布する。川や湖の他、ため池や灌漑用の水路などにもすむ。中型のクロコダイルで普通3mくらい、最大のもので5mに達する。 ヒョウやニシキヘビ、ドールを襲うこともあり、稀には人も殺される。 |
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![]() 1900年代初期、ルーズベルト大統領の一行は、ジャガーがカイマンを攻撃するのを目撃している。この時ジャガーは2m近いワニの頭を一噛みで砕き、それから胸を引き裂いた。ジャガーは外見はヒョウに似ているが、体に不釣り合いに大きな頭と頑丈な顎を持っているので、トラのような力強い戦い方をする。 ![]() |
1932年、インドの森林保護官が、トラの殺した獲物に近付いて行くヌマワニを目撃した。あまり離れていない茂みの中にいたトラは、ワニが食べようとしたところを捕らえた。 初めワニは反撃しようとしたがすぐに逃げ出した。しかし間に合わず数分でトラに殺された(サンカラ、1977)。 またウガンダでも、ナイルワニがライオンの獲物を盗もうとして逆に殺されてしまったことがあった(Cott, 1961)。 |
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2003年11月、Hal Brindley が南アフリカのクルーガー国立公園でヒョウがワニを襲うところを目撃している。ヒョウはワニを陸上に引き上げ、仰向けにひっくり返して喉に咬みついた。 アメリカの写真家、Hal Brindley が車の中からカバを撮影していた時、何かが藪の中から走り出して水辺に突進した。戦いの後、ヒョウがワニを水から岸に引き揚げた。ヒョウに首を咬まれながらも、ワニは反撃を試みていたがその顎はむなしく空を切るばかりだった。ワニを窒息せしめたヒョウはその死体を加えて藪に戻り、車中にいた観察者の視界から消えた。この間ほぼ5分。 ワニがヒョウを襲うことはそれまでにも知られていたが、ヒョウが自分より大きいワニを攻撃するのは極めて異例だという。Brindley は公園監視員にこのような光景を見たことがあるか訪ねたが、彼らは否定した。ヒョウにとってワニの肉はそれほどの危険を冒す程の価値はないと(MailOnline)。 |
ワニもやられてばかりではない。
ガンジス川下流のデルタ地帯、スンダーバンスはインドではトラとイリエワニが共存している唯一の場所(サンカラ、1977)だが、トラがイリエワニに食い殺されたことがあると、バートン(1933)が述べている。
↑川を渡っていた2頭のライオンがワニに襲われた。※ Kentarou413さんから教えていただきました。