多くの慎重な動物学者が公認している最大(最長)のヘビは東南アジアのアミメニシキヘビである。1912年にセレベス(スラウェシ)島北部の海岸でオランダの石油採掘技師たちによって捕獲されたものはちょうど10mあった。当時セレベス島に立ち寄ったアメリカの探検家 Henry Raven によって報告された。また未確認記録としてはやはりセレベス島で1970年頃に11mの個体が生け捕りにされた後で殺されている(Wood, 1977)。


 2011年10月、米ミズーリ州のカンザスシティで飼われていたアミメニシキヘビ Medusa長さ7.67mあることが確認され、飼育下における Current 最長記録としてギネス認定されている。10歳の彼女を測定するに当たっては15人がかりだった(GuinnessWorldRecord)。
 また Medusa の体重は159kgだという。むしろこちらのほうが驚異的である。アミメニシキヘビとして最も重い記録であり、比較的スリムと考えられていたアミメニシキヘビのイメージを再考させるものだ。

 Medusa の前のレコードホルダーはオクラホマ出身の爬虫類学者 Bob Clark が飼育していたアミメニシキヘビ Fluffy で2002年(13歳)の測定で長さ7.3m、体重は140kgだった。2010年10月にオハイオ州コロンバスの動物園で死亡した。

近年アメリカで飼育されていた特に大きなアミメニシキヘビ

 1993年3月、ニューヨーク・ブロンクスパーク動物園にボルネオからやってきた Samantha は長さ6.5m、体重70kgだった。2001年10月の計測では7.9m、125kgに達していた。この8年半の間に63頭のブタ(計866kg)を食べた。

 1990年にスラウェシ島からテキサス・サンアントニオ動物園にやってきた Marcy は2002年には7.6mを超えていた。体重は計量されていないが推定で100〜125kgという。1994年、5.8mの時の計量では68kgだった。Marcy は2、3ヶ月ごとに9−23kgのブタを食べていた(Reptile Discovery !)。

全長(m)場  所備  考
10.1ジャワ詳細不明。
9.1マレーシア(1799)マレー人の水兵を締め殺した直後に捕獲された。
8.8マレーシア(1974)ブタを呑み込んだ直後に殺された。
8.5マレーシア(1859)胴回り81cm
8.2マレーシア(1896)皮(10m)が大英博物館に保存されている。

 アナコンダとは異なり、ニシキヘビは動物園でもよく飼われている。以前、姫路市立動物園には大きなアミメニシキヘビが飼われていて、そこの案内書によると、園長は世界の動物園を回ったがここのニシキヘビが一番大きいと記されていた。しかし具体的な長さについては触れられていなかった。生きている大きなヘビの長さを測ることは意外に難しいのだ。


 飼育されたヘビの中で最も大きかったのは、フランスの動物商 Charles Mayer(1920)がマレーシアで捕獲した9.8mのアミメニシキヘビで、これを買ったニューヨークの動物商は8人がかりでこのヘビを床に抑えつけ、体を伸ばし、紐を使って測定したという。そして彼はこのヘビを34フィート(10.4m)と偽って他へ売ってしまったそうだ。

全長(m)体重(kg)名前場 所(死亡した年)
8.7145Colossusペンシルバニア・ハイランドパーク動物園(1963)、胴回り95cm
1949年にタイで捕獲された(この時は6.7m)
8.5Agamemnonロンドン動物園(1942)。
1935年にマレーシアで捕獲された(この時は6.4m)
8.5113ハンブルグ・カールハーゲンベック Tierpark (1904到着)
8.4?118Cassiusヨークシャー・Knaresborough 動物園(1980)。皮の長さ8.8m
1972年にマレーシアで捕獲された。
8.387Rexニューヨークの国際ヘビ博(1936)に展示された。
8.0Ginaスマトラで捕らえられ、バリの Reptile Park で飼われていた。
7.6138ワシントン国立動物園に飼われたうちで最大のヘビ
7.6100バンコク爬虫類グローブ(1957)
7.5Praggersロンドン動物園(1942)。1922年にマレーシアで捕獲された。
1935年で7.5m、死んだ時には9m(推定)に達していたと言われる。
7.4112ヒューストン自然史博物館(1961)
7.376ロンドン動物園(1911)

 2003年12月、ジャワの Curugsewu village で非常に大きなアミメニシキヘビが公開された。地元の役人 Rachmat によればこの暗色の巨大なヘビは長さ14.85m、胴囲85cm、体重447kgもあるという。
 もしこれらの数字が正しければ世界最大の大蛇となるわけだが…。
 この巨大なヘビはインドネシアの科学研究所、Gajah Mada 大学、そして state Institute of Agriculture at Bogor の研究者によって検査を受けたそうだ。
 飼育係の Imam Darmanto によればこのヘビは2002年にスマトラの Jambi で生け捕りにされその村で飼われていたのを、レクリエーションパークのスタッフが買い取った。しかしその村から運び出す許可を得るのに数ヶ月を要したという。
 447kgのニシキヘビは1ヶ月に4、5頭のイヌを食べている。(AP-Associated Press)
 地元の専門家に確認されたと言うことは15mの大蛇は本物だろうか? 残念ながら写真ではその巨大さはうかがえないが。また雄だととのことだがこれも気にかかる。一般にニシキヘビは雌の方がかなり大きい。
 CNN によると、ロイター通信のカメラマンが持参したメジャーで測定したところ6.5〜7mしかなかったという(2004年1月8日)。しかし客寄せには大きく貢献したようだ

 アミメニシキヘビには、アナコンダと比べると、大物の噂話は少ない。おそらくけっこう細身だからだろう。インドネシア産の6.85mの個体で胴の直径は23cmだった。
 1980年2月、スマトラで25mもあるニシキヘビがブルドーザーでひき殺されたとのニュースがインドネシアの新聞に掲載された。ブルドーザーと2匹のニシキヘビ(どちらもほぼ同大!)の死闘は1時間以上も続き、1頭は逃げ去った。
 殺された方のニシキヘビの胃の中から4人の死体が見つかったという(この記事は日本の新聞にも掲載されていた記憶があります)。

 上の内容と関連があるのかどうかは不明だが、マレーシアで17mもあるニシキヘビが、ブルドーザーとの事故で死んだいう「話」がネット上にある。
 新しく道路を作るためマレーシアの森林を伐採していた森林労働者が2匹の大蛇に遭遇したというのだ。工事の音と振動が、眠っていたニシキヘビを目覚めさせたらしい。
 地面を掘り起こすうちに土に血が混じっていることに気づき、さらに掘り進むうちに、死に掛けたニシキヘビが現れた。1頭はまもなく死んだが、もう1頭はいなくなっていた。強い衝撃を受けた運転手は病院に運ばれたが後に死亡したという(Oddities123)。
※ Kinta3103さんから知らせていただきました。
 長さ6.4m、体重79kgのアミメニシキヘビ。18歳(2009年)の雌。

 2007年1月26日、マレーシアのクアラルンプールで長さ7.1m、胴回り60cmもあるニシキヘビがイヌ11匹を襲っていたことが明らかになった。このヘビは住民らに発見されるまでに果実園の番犬を少なくとも11匹を飲み込んだとみられている。
 被害を受けた果実園のオーナーは、26日付ニュー・ストレーツ・タイムズ紙の記事の中で「このような巨大なヘビを見てショックだった」とコメント。同紙は全長がテニスコートの幅ほどあり、木の幹ほどの厚みをしたヘビの写真も掲載した。発見した住民らはヘビに危害を加えることなく、木に縛り付けた上、野生動物の管理当局者に引き渡したという(日刊スポーツ)。
過去3ヶ月の間に少なくとも11頭のイヌを餌食としたニシキヘビが住民らに逮捕された。
※ 古谷さん、祥子さん、nucky さんから知らせていただきました。

 アミメニシキヘビは、しばしば人工的な環境で見つかっている。バンコクでは船の往来が多い運河に入り込み、イヌやネコ、アヒル、さらにはブタを捕食している(S. S. Flower, 1899)。シャムの王宮に侵入したニシキヘビが王室のシャム猫を呑みこんだこともある(Taylor & Francis, 1943)。
 ルソン島ではマニラ近郊で7.3m、83kgもあるニシキヘビがタクシーに轢き殺されている(Smithsonian Institution Press, 1970)。

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