今から3億9500万年前〜3億4500万年前の古生代デボン紀、いわゆる甲冑魚のなかまの板皮類と呼ばれるグループが繁栄した。その中でも最大で、おそらくこの時代における最強の捕食者がダンクレオステウス Dunkleosteus terrelli だ。
 合衆国のオハイオ州、クリーブランドのデボン紀後期の頁岩層で巨大な頭骨化石が発見されている。その長さ1.1m、幅90cmもある。頭骨しか知られていないので全身の復元ははっきりせず、全長の推定は5〜9mとかなり幅がある。6m説が多いようだ。

 ダンクレオステウスは現代のサメのような存在だった。デボン紀には既に原始的なサメが出現していたがあまり大きくはなかったので、ダンクレオステウスの餌食になっただろう。
 板皮類は全身を固い板で武装し、顎は頑丈でその縁は鋭利な刃物のように研ぎ澄まされていた。歯のように見えるが、歯ではなく顎の骨の一部なのだが、獲物を咬みちぎるには充分だった。


 ダンクレオステウスは板皮類のディニクチス科に属する。かつてはダンクレオステウスも Dinichthys と呼ばれていた。ディニクチスとは terrible fish(恐魚)の意味で、地球の歴史上最初に現れた本格的な肉食性の脊椎動物にふさわしい名前だが、いつの間にか Dunkleosteus の属名が使われるようになった。

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