イトマキエイ(厳密にはオニイトマキエイ)、というよりマンタの名で広く知られる最大のエイ。成長すると左右の開き(胸びれの先端から先端まで)が4m以上になる。体の長さのほぼ倍だ。一説では最大9mに達するといわれるが、確かな記録は6.7mである。

4.3m764kg
5.5m1048kg ガラパゴス
6.1m1589kg ベネズエラ

 世界各地の熱帯・亜熱帯海域に分布するが、これらが皆同一種かどうかは定かでない。日本では本州中部以南の海に現れることがあり、沖縄ではダイバーのお目当ての一つになっているようだ。
 頭の先端に一対の耳のような形をした、あるいは角のようにも見える頭ヒレがある。泳ぐときにこのひれをねじってドリル状にするところが糸巻そっくりなためにイトマキエイと呼ばれているらしいとシアエガさんから知らせていただきました。


 2008年、カナダので開かれたシンポジウムで、マンタには2種あり、それぞれユニークな行動やライフスタイルを持っていることが発表された。元々知られている一般的なマンタはまだ比較的小さい方で、通常は海岸付近に生息し、人間からも見つけやすい。一方、ほとんど知られていない2番目の種はさらに大きく胸鰭の横幅が7.5mに達する。広い地域を移動しており、人間との接触も避けているようだという(NationalGeographic)。
※ 上田さんから知らせていただきました。

 2007年6月16日、沖縄美ら海水族館でマンタの子が誕生した。世界初の快挙! 飼育下における長期飼育、繁殖はこれまで例がなかった。15年以上飼育されている両親の交尾は2006年6月8日に確認されており、妊娠期間374日での出産となった。
※ 鮫のジェイクさん、ヒーランさんから知らせていただきました。
 イトマキエイは魚類の大半を占める硬骨魚類(卵を産む)とは異なり、体内受精を行い、幼生は輸卵管内で発育・孵化する(卵胎生)。
 生まれた子(雌)は体の幅が1.9mだった。残念なことにこの子は生まれて僅か5日後に死亡した。沖縄美ら海水族館によれば父親のマンタとの接触による傷などが死亡の原因と思われるとしている(沖縄美ら海水族館)。
※ 利恵さんから知らせていただきました。

 沖縄美ら海水族館では、2007年につづき、2008年、2009年と3年連続で飼育下におけるマンタの出産に成功している。1988年に飼育を開始し世界で初めて長期飼育に成功、2007年6月には上のように世界で初めてとなる飼育下におけるマンタの出産を迎えた。残念ながらすぐに死亡してしまったが、翌年6月には再び出産、飼育に成功し、現在、仔マンタを黒潮の海で展示中。2009年6月の出産で3例目となる(沖縄美ら海水族館)。


 2015年4月、南米ペルーで体の幅26フィート(7.9m)m、体重が1トン以上もあるマンタが水揚げされた。 Caleta La Cruz の漁民が木製の船に乗って捕らえたという。実はマンタは絶滅危惧種としてレッドリスト入りしているので捕まえることは禁止されている(Metro)。
※ hidenoriさんから知らせていただきました。

Youtube

 ペルーとエクアドルの間の海域はマンタが最も多い地域であるとされている。しかしマンタは漁業の対象として捕獲される危険も多い。肉や鰓が薬品の原料としてアジア市場で取引されているからだ。そこでペルー政府は規制を定め、漁獲を禁じると共に、偶然に釣糸や網にかかった場合でも速やかに海に戻すこととしている(Wildaid)。

 英名では Devilfish ともいう。巨大だがおとなしいマンタを何故こんな名前で呼ぶのだろう、人が危害を加えられたことがあったのだろうか?

 昔、まだスクーバが開発されていなかった頃、海底で作業していた人々はマンタによってしばしば危険な目に遭っていたようだ。彼らが働いているところにマンタが迷い込み、潜水夫の命綱に絡まって大暴れすることがあった。逃れようとして猛スピードで海中を突進し、送空管や命綱を引きちぎり、潜水夫の頭にあるギアを吹き飛ばした。

 マンタが海面から躍り上がり、凄い水音と共に波間に飛び込む様は戦慄的でさえある。この動作が群で展開されると多くの恐ろしい話が生まれたのも頷けるほどの奇観を呈する。何故マンタが時折こんな激しい跳躍の衝動に駆られるのかはまだはっきりしていないが、体に付着したフジツボを払い落とそうとするのだとか、あるいは求愛の儀式だともいわれている。

 マンタは味は良くないとされている(日本動物図鑑)。他のエイと違って海底を住処とはせず、あまり深くない海を大きな翼(胸びれ)をリズミカルに動かしながら優雅に泳いでいる。大きな口を開けたままカニやエビ、その他の甲殻類の群の中を泳ぎ抜けて採餌している。


 2009年1月28日、タイでおこなわれたナショナル・ジオグラフィック協会が後援する探検調査プロジェクトにて、記録的な巨大淡水エイ Thai Freshwater Sting Ray(学名 Himantura chaophraya )が釣り上げられた。体の幅が2m、長さが2.1mあったが、尾は失われていた。捕獲を行った漁師と研究者により川に戻されたので、体重は計量されなかったが250kg以上はあっただろうという。淡水魚としては世界最大級かもしれない(National Geographic)。

 この巨大な淡水性のアカエイは、1989年に初めて学会に報告された種で、東南アジアやオーストラリア北部の非常に限られた川に生息している。尾も含めると全長4.3mに達する。
※ yuujiさん、ishiiさん、teyuさん、よしおかさん、ロブくんさん、xman008さんから知らせていただきました。


2015年3月、タイのメコン川で再び巨大な淡水エイが発見された。このエイ(Himantura polylepis または H. chaophraya)は、幅2.4m、全長4.3m、体重は700〜800ポンド(340kg前後)と推定された。あまりに大きく、そして、扱いにくかったため、傷つけずに計量できなかったそうだ。またこのエイは2匹の胎児を身ごもっていた(エイの多くは卵胎生)。
 このエイは2009年に捕らえられたものと同じ個体であるという。この時もエイは妊娠していた。また体の幅は2mだった。2度とも体重が軽量されていないので、公式には認定されないだろうが、世界最大の淡水魚だった可能性がある(ナショナルジオグラフィック)。
※ 上田さんから知らせていただきました。

HOME