福井県立恐竜博物館の展示場入口に置かれたフクイラプトルのジオラマ。90年代に福井県勝山市の北谷で発掘されたフクイラプトルは前後肢の骨がほぼ完全に揃っていた。2000年に日本で初めて全身が復元された肉食恐竜として公開され、またこの年は福井県立博物館もオープンした。


 2000年7月に出版された恐竜博物館の展示解説書には獣脚類の骨格とだけあり、まだフクイラプトルの名は記されていない。白亜紀前期のカルノサウルス類で大腿骨からの推定では全長4.2mとある(ただしこの骨格はまだ亜成体である)。
 大きな鉤爪を含む数本の骨が見つかった時、足に鉤爪を備えた巨大なドロマエオサウルス類の、いわゆるラプトル恐竜だとされた。一緒に見つかった歯の化石からもマニラプトル類(デイノニクスやヴェロキラプトルなど)だろうと考えられた。しかし後から発見された標本によって足ではなく、手の鉤爪であることがわかった。


 フクイラプトル Fukuiraptor kitadaniensis日本で初めて全身骨格が復元された肉食恐竜だが,全身の骨が見つかっているわけではない。ホルツ(2007)は原始的なカルノサウルス類に分類している。年代は1億3000万年ほど前であり、アロサウルスよりも少し新しいのだが。

 フクイラプトルは大きなくくりではアロサウルスの仲間に分類されている。そして中国(ジュラ紀後期)のシンラプトルやオーストラリア(白亜紀前期)のアウストラロベナトルに近い種類ではないかと考えられている。


 白亜紀前期にアフリカにいた大型種、アフロベナトル Afrovenator abakensis。シカゴ大学の研究チームによってニジェールで発掘され、ポール・セレノが1994年に発表した。全長8〜9m。頑丈な後脚は活発なハンターであったことを示している。やはり強力な前足は大きな鉤爪を持ち、獲物をたくみに捕らえ、押さえ込むことができた。
 ホルツ(2007)はアフロベナトルを、トルボサウルスらと共にメガロサウルス科に分類しているが、Dixon(2007)はカルノサウルス類に含めておりやはりアロサウルスに近いとしている。


 フクイラプトル以外にも肉食恐竜と思しき化石が20ほど見つかっているが、歯や尾、足跡など僅かな断片に過ぎないため、その鑑定も不明または曖昧である。

山中竜 Sanchusaurus 1981年に群馬県の山中地溝帯から約11cmの尾椎が見つかり、白亜紀前期の獣脚類と鑑定された。中国のヤンチュアノサウルスに近いといわれていたが、1991年にはオルニトミムス類であるとする説が出ている。
御船竜 Mifunesaurus 山中竜と同じ頃に熊本県から報告された。見つかったのは約75mmの歯でこれも白亜紀前期の大型獣脚類と鑑定された。


御船町 (トリップアドバイザー提供)

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