ダイオウホウヅキイカ2007

 2007年2月、ニュージーランドで巨大なダイオウホウヅキイカ Colossal squid が水揚げされた。全長約10m、体重およそ450kg。引き揚げるのに2時間を要した。南極海に棲むこの深海のイカは、ダイオウイカとほぼ同じ長さだがもっと重いという。1925年にマッコウクジラの胃の中から見つかった2本の腕によって初めて確認されているが、その後ごく僅かしか発見されていない。2003年にロス海の海面で捕らえられた雌の亜成体が全身を得られた最初の捕獲だった。
 漁師達が、Patagonian toothfish を捕っている時、それを食べていたイカがかかった。きわめて慎重に水面まで引き揚げた時にはイカはすでに死にかけていた。イカは冷凍にされニュージーランドまで運ばれた。これがダイオウホウヅキイカの成体としては最初の標本である。死体は冷凍保存され首都ウェリントンの博物館に運ばれた(BBC)。

 ニュージーランドの漁船が捕獲した巨大なイカは、陸揚げされて冷凍保存されたが、このイカを解凍するため、超大型の電子レンジを使うことが専門家の間で検討された。自然解凍すれば中心部が解けるまで時間がかかり、その間に外側が腐ってしまう恐れがあるためだ。
 このダイオウホウズキイカ全長10m、体重は当初450kgと推定されたが、ウェリントンのニュージーランド国立博物館で正確に計測したところ495kgあり、これまでに計量された世界最重量のイカとみられている。
 同博物館では防腐処理をした上で展示する計画だが、問題はどうやって腐らせずに解凍するか。専門家によると、実在する1tもある超大型電子レンジを使い、素早く解凍することが検討されているという。ちなみにこのイカ、リング揚げを作ればトラクターのタイヤほどの直径になるというが、肉にはアンモニアが多量に含まれているため、食用にする計画はない(AFP)。
ダイオウホウヅキイカ2007

ダイオウホウヅキイカ2003

2003年4月、南極のロス海で、ダイオウイカよりも大きいとさえいわれるダイオウホウズキイカが漁船によって捕獲された。現在、ニュージーランド国立博物館が保管。外套長(内臓をつつむ袋状の部分の長さ)は 2.5m、体重150kgだが、この個体は若い雌なので、成体はもっと大きくなるだろう。
 これまで完全な標本は得られておらず、過去の5体の標本はマッコウクジラの胃の中から見つかった一部だけ。ダイオウホウヅキイカはほとんど注目されていなかった。吸盤に石灰化した「フック」があり、360度回転する(BBC)。
 2008年4月、ニュージーランド国立博物館で前年に捕獲されたダイオウホウヅキイカの解剖作業が行われた。体重495kg、これまで捕獲された(そして計量された)イカの中では最も大きい。
 解体が進むにつれ、直径約27cmの巨大な目が2つ現れ、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワの研究所に集まった国際調査チームは驚きの声を上げた。「この目はこれまでに確認された動物の目の中で間違いなく最大のものだ」とスウェーデンのルンド大学の生物学者、ダン・エリック・ニルソンは語る。
 雌のこのイカは、卵を抱えていたので、積極的にエサをとらずに釣り糸からエサをとろうとしていたと考えられるという。従来の研究では、ダイオウホウズキイカは卵生であると考えられてきた。しかし、オシェア氏は稚魚を生む胎生だと考えている。また、深海イカのライフサイクルには不明な点が多いが、研究の進んだ種では出産の後すぐに死亡することが知られており、ダイオウホウズキイカも同じであろうと推測している(NationalGeographic)。
 旋回状のツメが付いた巨大な足で武装し、史上最大の目玉を持つダイオウホウズキイカは、イカ最大の種で、大昔から続く伝説の海の怪物の正体だと考えられている。しかし、巨大イカの解剖作業を行った専門家は、「このダイオウホウズキイカは、いままで捕獲された中で一番の大きさだが、ぶよぶよして動きがのろいただのデカぶつで、捕食動物に対して非常に弱い」と話す。

 2007年に捕獲され、2008年に解剖に付されたダイオウホウヅキイカは全長10mといわれていたが、もっと短いことが判明した。なんと4.2mだったという。これは当初の見積もりが過大だったのではなく、2本の腕が縮んでしまっていたためである。また外套長は2.5mで2003年に捕獲された若い個体(全長5.4m)とほぼ同大だ。しかし体重ははるかに重い。個体変異が著しいと思われるが、確かなことはもっと多数の標本が得られないと断定できない。
 他のイカをアルコール漬けにしておくと最大22%縮むことが確かめられた。巨大なダイオウホウヅキイカを脱水し、14ヶ月の間冷凍していたことによってどれほど縮むかは定かでないが。
 嘴はそのイカの全身の大きさを推定する重要なバロメーターである。495kgのダイオウホウヅキイカの嘴は42.5mmだった。そして嘴は長い間タンクの中にあっても縮むものではない。一方マッコウクジラの胃の中から49mmの嘴が見つかっている。これは今回の標本よりもかなり大きな個体だったに違いない(Te Papa)。
beak

 1964年12月、ロス海の氷壁付近でロシアの探査船 Gnevny が海の深さと塩度を測定するための機器を海中に降ろしていた。突然、何者かによって鉄製のケーブルが強く引っ張られた。引き上げてみるとそれは深海の巨大な生物によってかなり傷付けられていた。信じがたい力だったという。
 その4年後、ロシアの捕鯨船団の女性乗組員二人がヘリコプターで南極海のインド洋側を飛んでいる時、巨大なイカのような動物が、体を震わせながら海面近くを漂っているのを見つけた。正体を確かめようと二人は高度を下げた。半ば沈みかけていたその怪物は明るい茶色をしていた。腕らしきものは直径が1mほどもあったという(Gerald L. Wood, 1982)。

 ダイオウホウヅキイカはダイオウイカよりも大きいと何度も強調されているが、本当のところはどうだろうか?
 1955年から56年にかけて、ベリングスハウゼン海を航行していたイギリスの調査船 Southern Harvester が採集し、現在は大英博物館のタンクにホルマリン漬けになっているダイオウホウヅキイカの標本は外套長約3mもある。
 ケンブリッジ大学動物学部の Anna M. Bidder 博士は同大学に保存されているダイオウホウヅキイカの体の一部から推測すると、その外套長は5mもあっただろうという。これら2点はいずれもマッコウクジラの体内から回収されたものだ。
 腕の長いダイオウイカの方が全長では上回りそうだが、もっと本質的な大きさを示す体重の方は記録が少ない。実際に計量されたところではダイオウホウヅキイカの495kgがダイオウイカの256kg(スペイン、1968年)を大きく凌駕しているが体重が不明の個体を無視して比較してもあまり意味がない。
 外套長はダイオウホウヅキイカの約5mに対し、ダイオウイカは6.1mの記録があるが、1878年とずいぶん古いものであるため信憑性が問題となる。そしてダイオウホウヅキイカもダイオウイカもプロポーションはかなりの個体変化がありそうなので、たとえば全長から外套長や体重を推定することは難しい。
ダイオウホウヅキイカはダイオウイカより大きい?

上の図はBBC掲載のもの、あくまで参考程度に。

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