日本に住む猛禽類(迷鳥を除く)で最大の種は、冬に北日本に渡来するオオワシだ。黒と白のツートンカラーが美しい。 | |||
全 長 90−105cm 翼開張 2.2−2.5m 体 重 5−9kg 世界のワシ類でも屈指の大きさだ。 黄色い嘴は強大でよく目立つ。長さ(嘴峰)66−75mmもあって、 オジロワシ(46−55mm)、 イヌワシ(38−44mm)と比べてもかなり大きい。 大きな雌だと9kgもあるサケやタラを掴んで海面を数百メートルも飛ぶ。主食は魚だが東シベリアではアザラシの子やホッキョクギツネも捕食することがある勇壮な鳥だ。 |
北海道の東海岸には毎年多数がやってくるが、渡来数は流氷の接近状態と関連し、一般に流氷が早くから接岸する年の方がオオワシの数も多い(日本の野鳥カタログ)。
知床半島の羅臼には年によっては千羽以上が越冬。冬にこの海域で行われるタラ漁に依存している。魚網から落ちる魚を当てにしているそうだ。
北海道以外では数の少ない鳥で、西日本では見つかるとニュースになるほどだ。四国や九州、さらに伊豆七島や奄美大島でも見つかったことはあるのだが。
北海道では数羽のカラスに追われて逃げる姿がしばしば目撃され、鳥の王にしてはだらしがないなどといわれたりする。 |
琵琶湖北岸には毎年オオワシがやってくる。2009年11月27日、枯れ木にとまり、琵琶湖の魚や水鳥などの獲物を探す姿が見られた。ここ12年、続けて飛来する雌のオオワシで、例年、2月下旬ごろまでいるという。専門家は、南限の越冬地として定着したのはバスなどの外来種が増えたためではと話している。 |
日本に住むもう1種の海ワシがヨーロッパ、中央アジア、シベリア、それにグリーンランドの東岸に分布するオジロワシ。日本ではやはり冬鳥だが、北海道では少数が繁殖もしている。褐色の体に白い尾羽が目立つ。 オオワシよりやや小さいが、それでも翼開張は2m以上に達する。 北海道の東部、北部に多く知床の漁港などではよくオオワシと一緒に見られる。本州でも岸壁のある海岸や湖畔に住むが余り多くない。四国、九州にもごく少数が渡来し、伊豆七島や対馬でも見つかったことがある。 1932年6月、ノルウェーの農場で遊んでいた4歳の子供 Svanhild Hansen がオジロワシにさらわれた。ワシはそこから1マイルほど離れた山中の巣まで子供を運ぼうとした。 うまく上昇気流に乗って高さ約250mの山腹にある巣まであと15m位のところで子供を落としてしまった。まもなく駆けつけた両親や村人によって子供は無事(多少のひっかき傷はあったが)救出された。 |
全長70−95cm、体重3−6.5kg 19世紀にイギリスのアウターヘブリデスで7.5kgの記録がある。 |
↑オジロワシ(左)の取った魚を奪うオオワシとエゾシカの死骸を巡って争うオジロワシとキツネ(NHK)
北アメリカに広く分布するアメリカハクトウワシは一見オオワシに似ているが、頭が白い。そのためこの名前がある。bald という言葉は本来は白を意味していた(毛がないという意味ではなかった!)。 1782年、アメリカの紋章に選ばれた。この時対立候補としてイヌワシが提案されたが、イヌワシはヨーロッパで長い間専制と独裁の象徴だったとして退けられた。 |
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ハクトウワシの求愛行動は派手だ。つがいが、空高く飛びながら両脚をつなぎ合わせ、荷車の車輪のように、何度も回転しながら一緒に落ちてくる。互いに飛ぶ力が強いことを見せつけあい、気を惹こうとするのだ。 ハクトウワシは各種の鳥類や魚を捕るが、またミサゴが捕らえた魚を強奪することがある。高空から急降下してミサゴに迫り、そのくわえた魚を落とさせ、鮮やかな手際で横取りするのだ。そのためベンジャミン・フランクリンはこのワシを合衆国の国鳥とすることに強く反対した。 |
カナダのロッキー山中で二人のハンターが子ジカを掴んで上空を飛ぶハクトウワシを目撃している。二人が大声を出したのでワシは獲物を落としたが、その子ジカ(ミュールジカ)は約7kgあった(Lane, 1955)。 |
全長 75−95cm 体重は大型の雌だと6.5kgに達する。 ハクトウワシはオジロワシに近い種類で、同種かもしれないと言われる(山階芳麿・理学博士, 1966)。 |
2013年1月、アメリカ、ワシントン州で白い斑点模様のハクトウワシが目撃された。二人の写真家が、同州ベリンハム近郊のヌックサック川で餌を探している個体を撮影している。このハクトウワシは、羽毛の色素が部分的に欠損 した白変型らしい。幼鳥の羽毛にも斑点があるが今回目撃されたのは、頭部が純白なので成鳥のようである(ナショナル・ジオグラフィック)。