ウバザメ | Basking Shark |
ウバザメはジンベイザメについで大きな魚類であるのに、あまり脚光を浴びることがない。ウバとは姥のことらしい。またバカザメともいう。名前にも恵まれない気の毒なサメだ。 ウバザメはポカンと海面に浮いていて網にわけなくかかってしまうし、漁船がすぐそばまで近づいても逃げもせず、銛でぐさっと突かれてしまうほどのバカだとか。ここまでいわれるとかわいそうになってしまう。 最大のものは14−15mに達するともいわれるが確認された数字ではない。ジンベイザメは鼻先が丸く、クジラのイメージに近いがウバザメの口はもっと尖っていてよりサメらしい。 歯がごく小さく、クジラ髭のような鰓を持っていて、小エビや小魚を海水もろとも大口を開けて飲み込み、それから水だけを出す。ジンベイザメやヒゲクジラ類と同じような食生活を営んでいる。 |
↑2009年7月14日、ニューヨーク州ロングアイランドに漂着したウバザメ(長さ6m)。残念なことに既に死んでいた(National Geographic)。※ ac7059さんから知らせていただきました。 |
ウバザメはジンベイザメよりも北の海に住んでいて、日本では東北の近海で時々捕獲される。 2003年4月28日、山口県宇部市西岐波の沖約7.7kmの瀬戸内海で、サワラ漁のため仕掛けられた流し網にウバザメが掛かり、宇部岬漁港に陸揚げされた。長さ9m、胴回り4.2m、体重約6tもあった。瀬戸内海で見つかるのは珍しいという。 |
←2004年3月25日には大分県の日出町沖の別府湾で、刺し網漁をしていた別府市内の男性が巨大な獲物が掛かっているのを見つけた。 最初はクジラかと思い、同湾でクジラの遊泳が話題となっている折だけに、大分海上保安部など関係機関に連絡。 市内の港に運ばれ、クレーンで陸揚げされた。長さ6.9mのウバザメだった。 ※このニュースは豊後ジャガーさんより知らせて頂きました。 |
2007年4月24日午前8時ごろ、茨城県日立市会瀬町の沖合約4kmで、定置網に体長8.6mのウバザメがかかっているのが見つかり、会瀬漁港に水揚げされた。 アクアワールド茨城県大洗水族館(同県大洗町)によると、ウバザメは雄で体重約4.6トン。日本で発見されたものでは最大級。魚類展示課の柴垣和弘さんは「ウバザメは世界的に数が減っていて貴重なので、はく製にして展示したい」と話している。 捕獲されたウバザメは船上で死んだが、同日午後、大型トラックで同水族館に運ばれた。 水揚げした漁師・三上修さんは「おとなしくて暴れなかったが、この大きさなので10人の船員全員で1時間半かけて引き揚げ、船に乗せると重さで船体が傾いた」と興奮気味に語った(アクアワールド)。 2008年6月28日、昨年水揚げされたウバザメ(↑)の剥製が完成し公開された。同館によると、ウバザメは肝油をとるため長年にわたり乱獲され、約30年前からは、全国で年に1尾獲れるかどうかだという。 |
長さ(m) | 体重(t) | 漁獲地 | 特 記 |
---|---|---|---|
12.3 | 16(推定) | カナダ東部(1851) |
ウバザメの崩れかけた死体が海岸に漂着し、周囲の人々に謎の怪物のうわさを振りまく。 死体が破損しサメの形を無くしてしまうと、それはまさに Sea Serpent の態を為す。 これまでに幾つもの正体不明の怪物がウバザメだと断定されている。 サメの体のうち、点線で示した部分が先に崩れ落ちて、サメの形を無くしてしまうのだという。 |
12.2 | − | ポルトガル(1865) | |
12.2 | − | カナダ東部(1962) | |
11.6 | − | フランス(1917) | |
11.1 | 8 | イギリス(1806) | |
11.0 | − | カリフォルニア(1915) | |
10.7 | − | アメリカ東部(1868) | |
10.4 | − | ニュージーランド(1885) | |
10.4 | − | カリフォルニア(1896) | |
10.4 | − | カナダ東部(1937) | |
10.1 | − | カリフォルニア(1948) | |
10.0 | − | ニュージャージー(1821) | |
9.8 | − | カナダ東部(1962) | |
9.8 | − | 北大西洋西部 | |
9.8 | − | カナダ(1934) | |
9.7 | − | イギリス | |
9.4 | − | マサチューセッツ(1934) | |
9.3 | − | イギリス | |
9.3 | − | オーストラリア(1883) | |
9.1 | 4 | カリフォルニア(1931) | |
8.9 | − | アイスランド | |
8.4 | 6096kg | 胴回り4.9m |
ウバザメが有名になるとき
1808年10月、イギリス北部のオークニー諸島のある島の海岸に未知の海の動物の死骸が流れ着いた。それはいわゆる「大海蛇」を想わせる形をし、長さ17mもあり、そのうち首の長さが4.5mもあった。詳しい報告書と一部の骨がエジンバラ大学に、さらにはロンドン大学へと送られて、そこの海洋生物学者によってウバザメであると鑑定されたのだった。また背骨から推して全長は17mもあったとは思われず、最近検査した9.3mのウバザメに等しい大きさだとも付け加えられた。 1970年11月、長さ9mの怪物の死体がマサチューセッツの海岸に打ち上げられた。それはまるで脚のない巨大なラクダに見えた。ニュースはたちどころに広まり、数千人が見物に訪れた。しかしこれも後にウバザメであると鑑定されてしまった。 1977年4月、日本のトロール漁船、瑞洋丸がニュージーランドの沖合で巨大な未確認動物の死体を引き上げた。それはカメのような体にヘビの首を持っていたという。肉や内臓の多くが失われ、下顎もなくなっていた。それでも全長10m、体重2tもあった。乗組員によって写真撮影とスケッチがなされた後、死骸は海に戻されてしまった。もっともいくつかの肉片は残され、後に東京大学で検査されサメのものとの結論が出た。 | ↑ニュージーランドの未確認生物(1977年) |
↑1934年5月、フランス北西部の海岸に漂着した Sea Monster 長さ7.6m