サメの和名には首を傾げたくなるようなものがある。ジンベイザメやウバザメもそうだが、このホオジロザメも意味がよくわからない。ホオジロ(小鳥の一種)とは! 単に頬が白っぽいという意味でホオジロザメと呼ばれていたのかもしれないが、むしろオオジロザメ(大白鮫)の間違いではないのかといいたくなるくらいだ。英名の Great White や Man-Eater のほうがよほどマッチしている。
 ヨシキリザメというサメもいる。これも小鳥の名前だ。4m以上になる、よく人も襲うサメなのにである。昔の日本の漁師達はかなりなユーモアのセンスを持っていたようだ。

 世界の温帯海域に住むホオジロザメは有名な割には珍しいサメで、その大きさについては昔から大げさに伝えられているが、信用できる記録に乏しくまた世界的に受け入れられている公認記録というものも存在しない。魚類図鑑にも12mに達すると記されていたりした。

長さ(m)体重(kg) 漁獲地
7.0 マルタ島近海(1987)
6.71800(推定) フランス(1829)。胃の中から武装した兵士の首のない死体が見つかる。
6.43312 キューバ(1945)。胴回り448cm。歯の高さ57mm。1987年に見つかった写真からではそんなに大きくないという。
6.3 南オーストラリア(1984)
6.12450 オーストラリアのグレート・バリア・リーフで捕獲され、その冷凍死体が1994年4月、北九州・門司港に輸入された(時事通信)。
6.1 ニューサウスウェールス(1906)。最大の歯は64mm。
6.11467 西オーストラリア(1975)
6.11400(推定) ケープタウン(1941)
6.11780 地中海(1758)。海に落ちた船員を呑み込んだ直後に殺された。胴回り2.7m
5.641600 西オーストラリア(1965)。胴回り328cm。
5.541882 サンディエゴ(1975)
5.54 西オーストラリア(1980)
5.541600(推定) フロリダ(1940頃)
5.51800(推定) 西オーストラリア(1977)
5.332064 ロングアイランド(1964)。胴回り4m。
5.331800(推定) クイーンズランド(1979)
5.131208 南オーストラリア(1959)
5.082155 サンディエゴ(1975)
5.061750 沖縄(1981)
5.031700(推定) カリフォルニア(1980)
4.91537 西オーストラリア(1976)。胴回り3.1m。
4.91406 ロサンゼルス(1976)。2匹のアシカを呑み込んでいた。
4.61375 カリフォルニア(1958)。胴回り296cm

 オーストラリアで捕獲されたホオジロザメ。長さ6.3m、体重2353kg。
 写真は韓国の Kukaka さんから送っていただきました

 ホオジロザメはよく人を襲うことは間違いないが、人がサメに襲われた時、他のサメによる攻撃であってもホオジロザメのせいにされている可能性もある。
 ビクター・スプリンガー(1989)はホオジロザメがほとんど見られない熱帯海域における人的被害の大半は、サメの種類の鑑定に間違いがあり、真犯人は熱帯海域でごく普通に見られるオオメジロザメイタチザメであろうとしている。


1985年9月、カリフォルニア近海で捕獲されたホオジロザメ。長さ5.4m、体重1878kg。
 このサメの胃からは、成獣のゴマフアザラシと子供のゾウアザラシが見つかっている(sharkresearchcommittee)。

 オーストラリア、ニューサウスウェールズの Port Jackson で捕獲されたホオジロザメの胃からは、ヒツジの脚数本、ブタの後半身(片側)、多量の馬肉の他、ブルドッグの頭(首輪とロープが付いていた)と前脚が見つかった。
 どのような状況の下にこれらを食べたのかはわからない(Wood, 1982)。


 2005年10月には川崎市の千鳥運河で大型のサメの死骸が浮いているのを近くにいた作業員が発見し、川崎市港湾局が回収した(Sponichi Annex)。
 長さ4.8m、胴回り2m、体重1100kg。ホオジロザメと鑑定され、港湾局では学術的な貴重性を鑑み、剥製にして展示することにした。

5m

淡路島沖の底引き網にかかったホオジロザメ
川崎港千鳥町運河で見つかったホオジロザメ

川崎港千鳥町運河で見つかったホオジロザメ

 1992年3月、四国松山沖にホオジロザメが現れてちょっとした騒ぎになったのはまだ記憶に新しい。それから3ヶ月の間に日本近海で9件の目撃例があった。
 5月14日に鹿児島県で捕獲された雌は5mもあり、5月22日に高知県では5.2mの雌が捕獲された。また北海道でも4月と5月に5mを越えるものが捕獲されている。
 上の例からするとホオジロザメで5mというのはむしろ普通の大きさのようだ。そして最大のものなら7m以上あっても不思議ではない。
1992年05月22日、淡路島沖の底引き網にかかったホオジロザメ

 少し前まで、ホオジロザメの最大の記録としてよく挙げられていたのは、1842年にオーストラリア南部、ビクトリアで捕獲されたもので11.1mもあったといわれていた。ところが大英博物館に保存されているその顎は5〜6mほどのサメの顎と変わらない大きさだった(最大の歯は56mm)。

 2006年8月31日からアメリカのモントレー水族館でホウジロザメ(1.7m、47kg)が飼われている。飼育がたいへん難しいとされるこのサメは、今のところ食欲は旺盛だという。同水族館ではこの飼育によって環境破壊やトロフィー・フィッシングのため生息数が減少しているホオジロザメの保護に繋がる多くのことが解明できると期待している(Monterey Bay Aquarium)。※ Yano さんから知らせていただきました。
 ホオジロザメの飼育はこれまでにも試みられているが、まだ成功していなかった。1980年8月19日、サンフランシスコの Steinhart 水族館で、2.1mの雌のホオジロザメ Sandy を水槽に入れた。しかし僅か3日後には、サメに衰えが見えてきたので、水族館では海に戻すことにした。カリフォルニア沖に放たれたサメはすぐに波間に見えなくなった。

長さ(m) 漁獲地
7.6 ニューファウンドランド(1935)
7.9 ニューブランズウィック(1932)
8.2(推定) ニューヨーク(1975)。船の下を通りすぎたのが目撃されている。
9.0 アゾレス(1978)。胴回り6.1m。最大の歯は76mm。一時はギネスブックにも掲載された。
9.5(推定) カリフォルニア(1977)。数回目撃されているが捕獲されていない。
11.3 ニューブランズウィック(1930)。ウバザメの誤認ではと疑われたこともあった。
12(推定) クイーンズランド(1894)。船の傍を泳ぐところが目撃されている。

 Berkut 様からメールでジャンプするホオジロザメのことを教えていただきました。自分でも調べてみたのですが見つからなかったので原文のまま紹介します。

 南アフリカのシール島は6mもジャンプするホホジロザメがいます。と言うよりそうしないとエサが取れませんから。
 シール島ではホホジロザメは1.5〜2m位のアシカかアザラシが主食であったと思います。
 アザラシに気づかれない為にホホジロザメは入りこんだ地形を利用し、底からジャンプするのです。
 南アフリカのホホジロザメはカルフォルニア、オーストラリア等にいるホホジロザメとは違い、アシカをエサにするのでスピードと機動性が要求されます。シール島のホホジロザメは時速55km以上で泳ぐのではないかと言われています。後、エア・ジョーズ2では、全部の海のホホジロザメがジャンプできるのではないか? と考えた研究者達がカルフォルニア、オーストラリアでのジャンプを試みて、見事それに成功します。
 カルフォルニアのホホジロザメは6m近いゾウアザラシも襲うのですが、シール島のサメとは戦術が違うのです。
 カルフォルニアのサメはゾウアザラシが潜水する事を覚え、潜ったアザラシを襲うのですが、シール島のアザラシは種が違う為、水面にいる魚を取る為に水面で狩りをします。ホホジロザメは水面で狩りをしなければなりません。ですから、シール島のホホジロザメは深みから水面に猛スピードで泳ぎ、獲物に噛付いた時に水面に踊り出てしまうのです。
 ちなみにホホジロザメ(ホオジロザメ)の名前の由来は小鳥のホオジロから取ったのではなく、他のサメより頬が白いからだそうです。


 2006年5月7日放送のNHKスペシャル Planet Earth でもホオジロザメがジャンプしてオットセイを襲うシーンがあった。巨大なホオジロザメが小さなオットセイ(おそらく雌)を空中でキャッチできるのは凄いといわざるを得ない。

こちらの動画は X-Man さんから教えていただきました。スローモーションですが、大きなサメがいかに軽快にジャンプするかがわかります。

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