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世界の毒蛇で最も大きいのはインドから東南アジアに広く分布するキングコブラ Hamadryad だ。あまり数は多くなく、インドでは希だといわれる。そのためか人の被害は多くない。 長さ3.5mくらいになり、またその1/3の高さにまで頭を持ち上げることができるので、大きな個体だと人の顔にまで達する。 キングコブラはヘビを主食としている。そのため大小のものを同居させるとしばしば小さい方がいなくなるといわれる 毒性はもっと小型のインドコブラより弱いが、毒腺が大きいので一度に大量の毒を注入でき、ゾウでも殺せるほどだ。 |
フィラデルフィア自然科学研究所の Rodolphe Meyer de Schauense はタイ北部のチェンマイを訪れた際、彼が到着する少し前に、飼われていた大きな雄のゾウがキングコブラに咬まれて死んだと聞かされた。その森林伐採所では毎年2、3頭のゾウがキングコブラに咬まれて死んでいるとも。ゾウは鼻の先や足の指(爪の付け根)を咬まれており、3時間ほどで死ぬという。 |
572cm | 1937年にマレーシアで生け捕りにされ(この時は554cm)、ロンドン動物園に送られたが1939年、第2次大戦が勃発し、危険を避けるため殺されてしまった(Mark Carwardine, 1995)。 |
559cm | 1924年、タイ南部で現地の収集家が射殺した。頭骨(長さ98mm、幅72mm)がハーバード大学比較動物学博物館にある(Minton, 1973)。 |
498cm | タイで捕獲された。C. J. Aagaard (Cobras and King Cobras, 1924)。 |
ヘビの体重が計量されることはめったにないので、ヘビの大きさを比べるには長さを基準にするしかないが、後から出てくるガラガラヘビとの比較のためキングコブラの体重の記録も挙げておこう。なお平均体重は7kgほどである。 |
475cm | 12kg | 1951年、シンガポールのゴルフ場 Royal Island Club で生け捕りにされた。ラッフルズ博物館に標本がある。 |
440cm | 12.7kg | ニューヨーク動物園に15年以上も飼われていたが、1973年2月、病気で死亡した。 |
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多くのトラを撃ったジム・コーベットは一つのジンクスを持っていた。使命を帯びたトラ狩では、まずヘビを殺してからでなくては、どれほど努力を重ねても人食いドラをしとめることができないという信念である。 Kanda Man-Eater を追っていた峡谷で彼は下の方にヘビを見つけた。ヘビの方も彼を見つけ2、3フィートばかり鎌首をもたげた。とたんに頭部の傘が大きく広がった。長さ4mくらいありそうなキングコブラだった。むやみに発砲することははばかられた。トラを警戒させてしまうかもしれないからだった。 長い間の睨みあいの末、コブラは傘をすぼめ、反対側の斜面を登り始めた。コーベットはこぶし大の石を拾うと急な斜面の上にさしかかったところのヘビに投げつけた。コブラは斜面を転がり落ちたが、バネを利かせて起き上がり、コーベットに向かってきた。彼はさっきより大きな石を拾い上げて迫ってきたヘビの頭に上からまともに叩きつけ、悶絶させた。 この無意味とも云えるコブラ殺しで、コーベットは初めてこの人食いドラを倒せるとの確信を得た(Man-Eaters of Kumaon, 1944)。 |
![]() ![]() また北ローデシアで3年間に11人の命を奪ったとされるものは358cmあった(Gerald Wood, 1972)。 アフリカの爬虫類収集家、C. J. P. Ionides が集めた100を越えるブラックマンバで最大のものは320cm。 ブラックマンバは名前ほど黒くはない。成体で褐色であり若い個体では緑を帯びている。このため森林性の別種(グリーンマンバ3種)と混同されることがある。 ※ ブラックマンバの名前の由来は、その真っ黒な口の中にあることを gonta さんから知らせていただきました。
ブラックマンバは最も速く動く毒蛇だ。このヘビはウマにも追いつけるとさえいわれる。しかしこれは咬まれた人がウマに乗っていたことから来ている。人が咬まれた時、ウマは全力で走っていたわけではない。 |
![]() ブッシュマスターの毒はあまり強くなく被害も少ないといわれるが(Minton, 1973)、一方 Ditmars は2.5mほどのブッシュマスターに太腿を咬まれたある男は10分以内に死亡したという。 |