1948年夏、インディアナ州北東部 Churubusco の農夫、Gale Harris は近くの Fulk's Lake に潜水艦のようなものが浮上するのを、納屋の屋根から見た。近づいて確かめてみるとそれは大きなカメだった。
 翌年の3月1日、巨大なカメは再び目撃された。全身苔に覆われたそれはダイニングルームの食卓ほどもあって、体重500ポンド(227kg)はあろうといわれた。このカメを捕らえようとする試みが町を挙げて始まった。
 3月12日、深さ6mほどの湖底にカメはいた。そして時折浮上してきた。しかしダイバーを雇い、引き揚げるためのレッカー車まで用意しての捕獲作戦は失敗した。Minton(1973)によれば1960年頃まで、インディアナでは Beast of Busco の噂があったが、その後徐々に忘れられていったという。

 合衆国南東部にすむワニガメは世界最大の淡水ガメで、甲長53〜66cm、体重45〜80kgにもなる。日本にもペットとして輸入されており、時々逃げ出した(捨てられた?)ものが見つかってニュースになる。たとえば2004年5月18日に和歌山で甲長約50cmのワニガメが用水路で見付かっている。
 1937年にカンザス州、Cherokee County のNeosho River で捕獲されたものは体重183kgもあったといわれるが確認されてはいない(Gerald L. Wood, 1977)。
143kgカメの専門家、Rusty Reed による。
113kg1998年11月、テネシーの水族館にやってきた。
107kgシカゴの Brookfield Zoo に飼われていた。
99kgジョージア州南部で捕獲された。
91kgフロリダの White Springsに骨格がある。甲長79cm。
77kg1959年、イリノイ州で捕獲された。全長140cm。
75kgRusty Reed が現在飼育している。

産経新聞 2010年6月14日午前8時半ごろ、大阪市港区海岸通の大阪港で、全長約70cmのワニガメが泳いでいるのを、船舶点検していた大阪府警水上署の男性署員が発見。網で捕獲した。
 ワニガメは米国原産。あごの力が強く、人に危害を加える恐れがある特定動物に指定されており、飼育には都道府県知事などの許可が必要。
 生後8〜10年とみられ、水上署は拾得物として保管。ケージのすき間から竹の棒を差し入れると、かみついて折るほど。同署は飼い主は、早く名乗り出てほしいと言っている(産経新聞)。
大阪港で捕獲されたワニガメ(大阪市港区海岸通の水上署)

 2010年7月18日には、兵庫県淡路市の砂浜でワニガメが捕獲されている。波打ち際をとぼとぼと歩いているのを海水浴客がみつけた。こちらは全長約40cmなのでまだ幼体だろう。ワニガメは人の子どもの指をかみちぎるほど力が強い。ペットとして飼う人もいるが、飼育の際に必要な個体識別用チップはついていなかった。
 引き取った神戸市立王子動物園の飼育員によると、ワニガメは淡水に生息し、暑さが苦手。この日の洲本市の最高気温は30.7度。あまりの暑さに海水浴?(朝日新聞

 2006年6月11日、東京都台東区上野公園の不忍池でワニガメが産卵しているのが見つかった。通報で駆けつけた警視庁上野署員がネットで甲長37cmのワニガメとその卵6個を捕獲した。さらに別の通行人が卵9個を見つけて交番に届けている。同署ではワニガメの保護を上野動物園に依頼するとともに、飼い主を探している(日経)。誰かが飼育中のものが逃げ出したのだろうか?
 有精卵だとすると、池に別に雄がいて、繁殖している可能性もあるという。ただ、今回の卵は持ち運ぶなどしたため有精卵かどうか判別できず、ふ化することもないという。

東京・上野公園の不忍池そばで捕獲されたワニガメ〔共同〕

日経新聞

 2009年8月3日午後3時頃、福岡市中央区那の津の福岡競艇場で、レース開催中にコースを泳いでいた大型のカメが捕獲された。男性清掃員が見つけ、福岡県警博多臨港署に届けた。北米原産のワニガメとみられる。
 ワニガメはカミツキガメほど獰猛ではないが、咬む力は強く、動物愛護法で人に危害を加える恐れのある「特定動物」に指定されている。
 福岡競艇場は那珂川の河口にあり、同署は、処分に困って捨てられたワニガメが上流から迷い込んだ可能性があるとみている(読売新聞)。
読売新聞

画像は嵌め込み合成です

ワニガメ Alligator Snapper
 ワニガメはおとりを使って獲物を捕らえる珍しい動物の一つだ。池底の泥の中に半ば潜り込んで、頭をぴんと立て、口を開けたままじっとしている。口腔は黒っぽく、前の方に赤い小さな突起があり、これを揺り動かすことができる。
 魚はこのミミズのようなものに引き寄せられ、カメの口に入り込む。そのとたん、罠の蓋のように口ががっちりと閉ざされる。

←カメのテーマパーク・伊豆アンディランド(iZoo)に飼われている大きなワニガメ。chuzan さんから送っていただきました。
 意外にかわいい顔をしています。かなり年齢を経ているのかもしれませんが、成田空港に到着した時はだいぶ暴れたそうです。

カミツキガメ Snapping Turtle
 ワニガメによく似た種類でカナダ南部から南アメリカ北部まで広範囲に分布している。ニューヨーク市内の池でも見つかることがある。
 ワニガメよりはだいぶ小さく甲長23〜33cmで体重15kg以下が普通だが、最大のものだと甲長47cm、全長1mに達する。
 飼育下では体重39kgの記録があるが、野生で捕獲されたうちではネブラスカでの31kgが最大である(Minton, 1973)
 カミツキガメもペットとしてけっこう飼われているようだ。しかし見かけ通り危険なカメで人の指くらいは容易に噛みちぎる。魚やカエル、ヘビなどを捕食するほか水底にある動物の死骸も食べる。アメリカでは溺死者の死体を捜索するのにカミツキガメのこの性質を利用することがある。

 2010年6月2日、東京都台東区の上野公園で、「公衆トイレに大きなワニガメがいる」と通行人の男性から警視庁上野署に通報があった。同署員が駆け付けたところ、同公園の不忍池で泳いでいるカミツキガメを発見し、網で捕獲した。同公園では以前にもカミツキガメや卵が見つかっており、同署は残っていた卵が孵化して成長したほか、ペットが逃げたり、捨てられたりした可能性があるとみて調べている。
 捕獲されたカミツキガメは全長94cm、体重15.5kg。甲羅だけで45cmもあるというからかなりの大物である。カミツキガメは2005年6月の特定外来生物法施行で、研究目的などを除き、新たな飼育や輸入が禁止されている(時事通信)。

HOME