日本に棲むスッポンは甲長20cmくらいのカメだが、インド東部、中国南部から東南アジアにかけて、非常に大型のスッポンが生息している。

 動物図鑑を見ると甲長60〜90cmとなっているが、オランダの爬虫類学者 Nelly de Rooij が1915〜1917年にマレー群島で行った調査では、最大のマルスッポンは甲長129cm(幅74cm)もあった。体重は不明だが甲羅の長さではアメリカのワニガメをしのぐ最大の淡水ガメだ。
 Clifford Pope が海南島で測定したスッポンは甲長56cm、体重19kgだったが、現地の漁師は彼にこれは最大級のものの3分の1の大きさに過ぎないと語った。

大分のぶんごジャガーさんから上海動物園に非常に大きなスッポンがいることを教えていただきました。そしてそこで撮影したビデオを送ってくれました。ありがとうございました。正確な大きさはわかりませんが1m以上あるとのことです。
 また動物園の説明には中国名斑龜、学名 Pelochelys maculatus となっています。マルスッポンには P. cantoriiP.bibroni があることは知られていますが、P. maculatus の適切な和名は今のところ不明です。ご存じの方、お知らせいただければ幸いです。

 スッポンは英名 Softshells のとおり柔らかい甲羅を持っている。頭が小さく、首が長めで鼻先は細長い。角質の顎はなく、肉質の唇がある。
 スッポンは俗に噛みつくと雷が鳴るまで放さないといわれるが、噛む力は強く、また攻撃的ですぐに噛みつく。肉食性で魚やカエル、水性の甲殻類などを食べる。
ハトキャンプさんより
 ハトキャンプさんから、バンコクで撮影したスッポンの写真を送っていただきました。
 バンコク中心部の水路を通りがかった時に、なにか大きなものが水に沈むところを見て、仰天して30分ばかり待っていたそうです。するとまた浮かび上がってきて、写真が撮れたそうです。上のアヒルと比べると相当大きいのがわかります。まさかアヒルを狙ってるのでは?
 日本でも公園の池などにはたいていカメがいますが、タイではこんな大きなスッポンが…?

コガシラスッポン

 Narrow-headed Softshell Turtle
 マルスッポンと張り合う大型のスッポン。パキスタン、インド北部、ビルマ、タイ、マレー半島に住む。
 慎重な爬虫類学者は最大のもので甲長80cmとしているが、一説に甲長1.5m、体重は220kg以上に達するといわれる(B. L. Chaudhuri)。しかし確認された数字ではないようだ。
 鳥羽水族館に非常に大きなコガシラスッポンがいることをわたぴーさんから知らせていただきました。鳥羽水族館によると1986年6月に甲長110cmもある大物が日本で初めて公開された。
 また現在飼育されているのは甲長90cmの個体だそうだが、残念なことに非公開という。

 クジラさんから鳥羽水族館にいるコガシラスッポンの写真を送っていただきました
 非公開にもかかわらず、わざわざ担当の方に頼み込んで撮影したそうです。その熱意には頭が下がります。

コガシラスッポン幼体

 マルスッポンやコガシラスッポンは絶滅危惧種に指定されているが一部の愛好家には人気があるようだ。幼体()のうちはかわいくても大きくなったら手に余るのでは。

シャンハイハナスッポン

Swinhoe's Soft-shell Turtle

 2008年4月、ベトナム北部で、野生では既に絶滅したと考えられていたシャンハイハナスッポンが再発見された。飼育下でも中国の動物園とハノイのホアンキエム湖にいる3頭だけになっていたもっとも希少な淡水ガメ。発見したのはアメリカ・クリーブランド・メトロパークス動物園の研究員らで、沼の水面を泳ぐ姿をカメラで撮影した(AFPBB)。
※ ac7059さんから知らせていただきました。

 2011年4月、ホアンキエム湖で100歳を超える伝説の巨大カメを捕獲する作業が行われた。捕獲は治療のためで、数千人が見守るなか、特殊部隊の兵士を含む数十人が参加して体重約200kgのカメを捕まえた。
 このカメはこの数カ月で2度姿を見せた、甲羅や首、足にピンク色の部分が確認されていた。捕獲後の鑑定によると汚染の影響や釣り針による傷、小型のアカミミガメからの攻撃が原因として考えられるという(ロイター)。
※ ビフさん、空のパパさん、yossan さんから知らせていただきました。

 中国で飼われている2頭のシャンハイハナスッポンは幸いにも雄と雌で(ハノイの湖にいるものは雄)、その雌が2008年5月6日、湖南省の Changsha Zoo から Suzhou(蘇州)に到着した。そこで2頭が子孫を残すことが期待されている。ただどちらも老齢であることが懸念となっている。なにしろ雌(45kg)が80歳以上、雄(90kg)は100歳を超えているといわれる。雌は1頭しかいないため、これが生き残りの最後のチャンスである(theage.com.au)。
 かつては中国南部からベトナム北部にかけて生息した(1960年代に絶滅したと考えられていた)シャンハイハナスッポンも最大級の淡水ガメで、甲長60−80cm、体重135kgにまで達する。

金色のスッポン  2011年4月、高知市春野町弘岡下の小川で、全身がオレンジ色のスッポン()が見つかった。全長約20cm。5月3日から同市浦戸の桂浜水族館で展示されている。
 4月29日の昼ごろ、自宅近くの畑のナスに水やりをし、帰る途中だった前田進一さんが、ゆっくり水中を歩くオレンジ色の物体を発見した。尖った口に足が4本。スッポン!
 すぐに、持っていたひしゃくとくわですくい上げ、自宅でこの珍客を1泊させた後、桂浜水族館に引き取りを頼んだ。
 頭や脚から甲羅まで見事なオレンジ。同館の丸林友文・学芸室長は「何らかの原因で黒の色素が欠けた結果」と分析。目立つ色はナマズやウナギに食べられるため、「ここまで成長するのは珍しい」とも。
 環境や餌の変化で今後、ほかのスッポンと同じ緑色に変わる可能性もあるという(高知新聞)。
※ わたぴーさんから知らせていただきました。

 普通種のスッポンは東アジアに広く分布し、日本では本州・四国・九州の河川、湖沼に棲んでいる。普通は甲長20cm以下であるが、稀に30cmに及ぶものがある。背面は一様に緑を帯びた暗い灰色。一方、腹部は白ないし淡い黄色で濃いグレーの斑紋がある。
 2011年5月7日、京都の木津川で甲長38.5cm、体重7.3kgもあるスッポンが、日本爬虫両生類学会会員の中川宗孝さんが仕掛けた罠によって捕らえられた。おそらくは国内で最大。5月13日に神戸の須磨海浜水族園に収容・展示された(神戸市)。
 これまで日本最大のスッポンは、2010年7月に島根県宍道湖で捕獲された37cm、6.9kgのもので、今回はこれを僅かながら上回まった。中川さんは、昨年5月にも甲長35.5cm、体重6kgのスッポンを捕獲して日本一の座を射止めていたが、2カ月後に宍道湖のものに記録を塗り替えられたため、「リベンジを果たそうと執念を燃やしていた」(中川氏)という(京都民報Web)。
日本最大のスッポン
※ hazukiさんから知らせていただきました。

 スッポンは美味なことで知られている。映画評論家の故荻昌弘氏は、「京都・太市のスッポンは万一、世界でこれ以上うまいものはないと宣伝されても、否定する根拠はそう簡単に取り出せないくらい、じじつうまい。僅かにこれに似た味とぬめりといえば、本式のフランス料理でもあまりしばしばは出ないカエルのコンソメくらいのものだろう」とおっしゃっている(男のだいどこ)。

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