世界最大のカメ、オサガメは各大洋の熱帯地方の海岸で繁殖し、温帯海域まで回遊する。日本近海にも現れることがある。1988年9月、非常に大きな個体がイギリスの海岸にすでに死亡して漂っているのが発見された。体重961kgもあった。全長は291cm、前の鰭を左右に拡げた時の幅は277cmあった。甲羅の長さは256cmとされているがこれはカーブに沿って測定したものと思われる。この標本はウェールズの国立博物館に展示されている (Guinness World Records)。


 2016年4月に定置網にかかった「世界最大級」のオサガメ。

 海洋博公園によると、4月25日の午前7時半ごろ見つかったオサガメは甲羅の長さが140cm、体重240kg。大人になる少し前の子どもの雄。同公園動物管理チームの河津勲サブリーダーは「生息地はもっと南にあり、県内で発見されるのは珍しい」と話す(沖縄タイムス)。

 2005年5月25日、アルバニアのイオニア海で漁師が806kgもあるオサガメを生け捕りにした。すぐにイタリアの鮮魚業者がアプローチしてきたが、最初は取引を断った。しかし「新品同様のメルセデスでどうだ」という申し出を受け、考えを変えた。カメはローマの動物園に向けて船で運ばれたと報じられている。
 アルバニア自然資源博物館のイドリス・ハクシウ館長は「極めて稀なウミガメで、アルバニアにとって貴重なものだったのに。これまでに1匹だけ捕獲されていて、それは820kgありました」と語った(ロイター)。
※ ワニヲタさんから知らせていただきました。

 網走市立郷土博物館に展示されているオサガメ。1940年に網走沖で捕獲されたもので、全長2m、体重は不明(網走市立郷土博物館 2018私信)。
※ この標本の存在はcbh68770さんから知らせていただきました。
 オサガメは熱帯から温帯にかけて分布しいるが日本近海で見つかることは珍しい。北海道ではごく稀だろう。2010年9月に紋別の定置網にオサガメが掛かっている。全長1.7m、体重250kg(ニュースの社会科学的な裏側)。

 2006年3月30日に高知県土佐清水市の沖合で全長1.6m(甲羅の長さ1.3m)のオサガメが定置網にかかった。けがはなく、放すと悠々と泳いでいった(読売新聞)。
 2006年6月21日 宮崎県沖の日向灘で、オサガメが漁船の定置網に引っ掛かっているのが見つかり、引き揚げられた。これは全長1.5m(甲羅の長さ119cm)くらいだったのでまだ若年の個体だろう(夕刊デイリー)。
 6月24日には和歌山県の串本町西向目津海岸に死骸が漂着した。全長約2m、腐乱が進み、特徴的な長い前鰭が第1関節で外れ落ち、周辺に骨などが散らばっていたという(AGARA 紀伊民報)。
 1998年3月17日にも三重県紀宝町の井田海岸で死骸が引き揚げられており(全長2.1m、剥製が同町ウミガメ公園に展示されている)、紀伊半島ではこれが2回目。

 2002年6月28日、奄美大島瀬戸内町の砂浜で、我が国では初めてオサガメの産卵が確認された。このカメは全長1.7m(甲長1.4m)くらいで、産卵を終えたオサガメは隠蔽行動をして海に戻っていった。オサガメが日本で産卵した記録はこれが初めて(日本ウミガメ協議会)。

 オサガメは成長すると全長1.8-2.1m(甲長1.5-1.7m)、体重320-450kgくらいになる。一方でしばしば長さが3m以上とか、体重が1トン以上もあるものが捕獲されたという話があるが確認されたものはない。
 1960年にアメリカのコネチカットでおよそ900kgもあったオサガメが報告されている。また1916年にはスカイリー島で1トン近くもあるものが網にかかったといわれる。
 これらの疑わしい話の中で最大のものは、1962年7月にイギリス北部のヘブリデス諸島近海で網にかかったものですぐにロープが掛けられ、ウインチで引き上げられたが残念なことに途中でロープが切れ、カメは逃げてしまった。
 捕獲した船の乗組員によればこのカメは全長12フィート(3.7m)はあったという。これは大げさと思われるが1トンまで支えられるはずの太いロープを切ってしまうからには相当な怪物だったに違いない。

体重(kg)全長(cm) 場  所
865254カリフォルニア(1961)生け捕りにされたが水族館に送られる途中死亡した。
863274カリフォルニア(1907)甲羅の長さは僅か157cmというが本当だろうか?
800フランス(1972)
715234太平洋産
658バンクーバー(1931)
650228フランス(1826)
644南アフリカ
609北海(1951)
600245フランス(1977)
583261カリフォルニア(1923)
485244オランダ(1968)甲羅の長さ158cm
480218スペイン(1928)
421246ポルトガル(1800頃)前の鰭の幅264cm
350193スコットランド(1967)甲羅の長さ(カーブに沿って)164cm、前の鰭の幅224cm
325183ニューヨーク自然史博物館所蔵
甲羅の長さ155cm

 世界で2番目に大きいカメは亜熱帯から熱帯の海にすむアカウミガメ Loggerhead だろう。他のウミガメ類よりも低温に強く、西日本にも産卵にやってくることは有名だ。
 Raymond Ditmars が測定した平均的な個体で甲長97cm、体重137kgあったが時にはもっと巨大なものが現れる。
 1871年に捕獲されたものは前の鰭を左右に拡げた幅が2.7m、体重386kgもあった。
 オーストラリアで捕獲されたアカウミガメの頭骨(幅28cm)がケンブリッジ大学に保存されている。推定体重は540kgという(Minton, 1973)。
 また U. S. National Museum も1929年にメキシコ湾岸で捕獲されたアカウミガメの頭骨(幅25cm)を所有しており、推定体重は450kg以上とされる。

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