アメリカマストドン Mammut americanus は、更新世後期、北アメリカに生息していた。化石はアラスからフロリダに至る地域から数多く発見されている。いくつかの化石には、毛の付いた皮膚も見つかっている。同じ時代の住人、ウーリーマンモス同様寒冷な気候に適応して、全身が毛に覆われていた。


 1845年、ニューヨークのハドソン川で、11000年ほど前の地層から非常に良好なマストドンの化石が見つかった。Warren 博士によって Mastodon giganteus と命名されたが、1868年に現行の Mastodon americanus に変更された。 Mammut americanus の方が先取されているが(鹿間、1979)。
 この骨格(Warren Mastdon と呼ばれた)は、ハーバード大学や、ボストンの Warren 博物館を経て、1907年にニューヨークのアメリカ自然史博物館に買収され今日に至っている。



 肩高2.6m、体長(頭胴長)4.5m、現在のゾウやマンモスよりも胴が長かった。上顎の牙は長大で2.6mもある。全米各地の主な博物館所蔵の標本14体は肩高239〜278cm(Harington、1974)。Wood(1977)によれば、最大の骨格は肩高3.1m(オハイオ大学)といわれる。またアメリカマストドンの下顎の牙は無いか、あってもごく小さい。

 広い意味でマストドンと呼ばれるゾウは、マンモスや現生のゾウとは異なる古い系統で、第三紀の後半、2000万年以上前からユーラシアやアフリカ、アメリカ大陸に生息していた。胴が長く、四肢が短めで、上下の顎に牙を持つ特異なイメージのゾウだった。
 ヨーロッパやアジアでは更新世初期に滅びたが、アメリカ大陸ではそれらの残存者であり、特殊化したマストドンが更新世末期まで生存していた。


 北アメリカでは鮮新世後期から更新世、南アメリカでは更新世に生息していたステゴマストドン Stegomastodon arizonae も特殊なタイプのマストドンだった。アメリカマストドン(マムート科)とは異なったグループ(ゴフォテリウム科)に属する。上顎の牙は大きくて上方に曲がり、下顎には牙がなかった。肩高2.7m、体長4.5m。ステゴマストドンは北米では100万年前頃に絶滅したが、南米では1万年前まで生存していた。

 アンデスマストドン Notiomastodon platensis 肩高2.5m


 南アメリカに渡った3種のマストドン(ステゴマストドン、キュビエロニウス、ノティオマストドン)は北アメリカで絶滅した後も、南アメリカでは生き続けた。北米でコロンビアマンモスとの生存競争に敗れ、南米に移動することによって生存期間を延ばしたのだともいわれる。

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