↑2003年10月、オランダの Emmen Zoo にヨーロッパで最大といわれるアジアゾウがラトビアの Riga 動物園から到着した。Radza という名のこの雄ゾウは肩高315cm、体重7200kgと予想外に大きく、オランダ側が用意していたゾウ舎を早々に壊してしまった。
Emmen Zoo では当初、やってくるゾウは体重5700kgと聞かされていた。Radza は牙で檻のフェンスを引き倒し、監視用のカメラも壊してしまったという(Elephant News)。
↑体も牙もひときわ大きい Radza と配偶者 Swe San Htay
※ ryoさんから知らせていただきました。
肩高(cm) | 体重(kg) | 名 前 | 所 在 |
---|---|---|---|
310 | 6198 | − | マイソール(1953) |
305 | 5400 | Bolivar | フィラデルフィア動物園(1908年死亡) |
301 | 5000 | − | マイソール(1937年映画に出演) |
294 | 5900 | Ziggy | シカゴ動物園(1936年−) |
292 | 5000 | Big Charlie | 1959年死亡 |
背中に地元のインドネシア人男性を乗せてスマトラ島西部アチェ(Aceh)州のうっそうとしたジャングルをパトロールするスマトラゾウたち(AFPBB)。
スマトラ島のジャングルはトラやオランウータンをはじめ、数多くの絶滅危惧種が暮らしているが、近年、違法伐採や、違法採取による深刻な被害を受けている。スマトラゾウも例外ではなく、象牙目当ての密猟被害に遭っている。この対策に地元当局が考え出したのがスマトラゾウを使ったパトロールだ。
↓横浜市立金沢動物園のインドゾウ
生年(推定) | 肩高(m) | 体長(m) | 体重(kg) | 名 前 | 所 在 |
---|---|---|---|---|---|
1976年 | 3.0 | 4.0 | 5700 | ボン(雄) | 1985年4月、インドから来園 |
1977年 | 2.5 | 3.3 | 3600 | ヨーコ(雌) | 同上 |
1976年 | 2.7 | 3.6 | 4130 | アーシャー(雌) | 2002年5月、上野動物園から一時的に来園。2005年11月に戻る。 |
市原ぞうの国の坂本小百合園長(2006)によれば、2006年5月現在日本で飼育されているインドゾウで最大は、愛媛県立とべ動物園にいる雄の太郎(推定33歳)で肩高3m、体重は計量されていないが推定6tという。また横浜市金沢動物園にいる雄ボン(推定30歳)も肩高3mで体重は5.7tある。
雌で最も大きいのは南紀白浜のアドベンチャーワールドにいるメリー(推定26歳)で肩高3m、体重5t。アドベンチャーワールドにいるもう1頭の雌ラリー(推定30歳)は肩高は2.5mだが体重は4.9tもある(アジアゾウ全66頭大調査)。
一般に飼育下のゾウは、餌を求めて始終移動している野生のゾウに比べて運動量が少なく、質の良い飼料を食べているので太る傾向がある。
東京・上野動物園にいた雄のインドゾウ・メナムは1965年4月に来園、1985年12月(22歳)には体重5010kgになっていた。2002年には約6t、肩高3.2mに達した。当時では国内で最大のインドゾウだったかもしれないのだが、その年の10月に死亡した(TokyoZooNet)。※ ryoさんから知らせていただきました。
↑神戸市立王子動物園のインドゾウ・マック(雄・1992年生まれ)が国内最大級に成長し、ゾウ舎への出入りが難しくなったので同園は出入り口(高さ2.7m)3か所のうち、1か所を90cm高くする改修工事を行った(読売新聞)。高さ3mを超え、体重も5t(推定)。雄ゾウは40歳くらいまで成長を続けるので、マックはもっと大きくなる可能性がある。なお伴侶の雌ゾウ・ズゼ(1990年生まれ)は肩高2.5m、体重は3725kgである(王子動物園)。
※ ryoさんから知らせていただきました。わざわざ写真まで撮影していただきました。
ところでマックは1995年にヨーロッパからやってきたのだが、父親はヨーロッパ最大のゾウ Maxi(チューリッヒ動物園)だという。そしてズゼの父親はこれまたヨーロッパ最大といわれる Radza だ(AsianElephantNet)。
おとなのゾウは1日に生草を200−300kgも食べる。乾草や藁だとその半分くらいだが、一方栄養価の乏しい木の葉ばかりだと400−600kgも必要だ。野生のゾウは毎日これだけ食べるために起きている時間のほとんど(16時間!)を費やす(ゾウの睡眠時間は3−4時間といわれる)。何度か移動し場所を変えて食べないと一つの群のゾウが満腹できないからだ。
かなりの距離を移動するので、野生のゾウは動物園のゾウより多く食べるかもしれない。果樹園や農場がゾウの群に侵入されると大きな打撃を受けることになる。
動物園では乾草を50kg、他にジャガイモ(15kg)、サツマイモ(12kg)、ニンジン(7kg)などを与えている(天王寺動物園)。栄養価の高いものを食べてあまり動かないのだからよほどコントロールしないと肥満することになる。
インドゾウはアフリカゾウよりもおとなしく飼育しやすいことになっているが、なかなかどうしてそんなことはない。東南アジアでは家畜化に成功したからそんな説が出たものと思われる。
中国で最大のアジアゾウ−五泉山動物園で飼われている麻杆(マーガン)。肩高3.3mもある(→)
アッサムの保護区でゾウの群を撮影していた戸川幸夫氏は、ゾウに気づかれて追いかけられた経験がある。ゾウは最初逃げようとしたが、ボスらしいゾウの力強い叫び声で逃げかけた群が一斉に突撃してきた。結局逃げ切れず、草に火を放ってゾウを撃退するという荒業で切り抜けたそうだ(野生の報告、1971)。
Carrington(1955)の推計ではインドでは毎年約50人がゾウに殺されているという。さらに動物園やサーカスでゾウによる死者が10人ほどいる。
Clarke(1969)によればインドで、よく訓練されていたあるゾウが18人も殺している。しかもこのゾウは殺すには惜しいということで、その後もお咎めなしだったとか。
ビルマでも飼育されていたゾウが15年間に9人のゾウ使いを殺している。このゾウも死罪は免れたが牙を切り落とされてしまった。
インド北東部アッサム州で住民を震え上がらせていた巨象が射殺された。野生生物保護当局者が2006年12月17日、明らかにした。住民はゾウを国際テロ組織アルカイダの指導者にちなみラディンと呼んでいた。
ゾウは肩高約3m、住民14人が犠牲になったとされ、当局は地元猟師に月末までにゾウを殺すよう要請していた。
アジア地域でゾウの生息数は減少の一途をたどり、アッサム州では現在、約5300頭がいると推計される。インド北東部では、ゾウの生息地域に人間が入り込んだことを背景に、餌を求め集落などに入ったゾウが住民に危害を加えるケースが続出。同州だけで過去5年間に250人以上が死亡、一方怒った住民に殺されたゾウも268頭に上るという。(CBS)
※ 泰次郎さんから知らせていただきました。
1964年、ビルマでちょっとしたアトラクションがあった。1頭のゾウ(体重3.5t)と兵隊50人(計2893kg)とで綱引きが行われたのだ。ほとんどの人がゾウに賭けたが、結果は兵隊が勝った。
←インド中部の Gwalior で飼われていた大きな雄。牙の先端が切り落とされているのは、こうしないと横になるのに難儀するからだという。
野生のインドゾウで最大の記録は、1924年インドのアッサムで Susang のマハラジャが撃ちとめた牙が1本しかない雄。肩の高さが3.4mあったとされているがこれは前足の周囲からの推定である。
1945年にやはりアッサムで高さ3.4mのゾウが撃たれている。前足の周囲は168cmあった。
1992年、ネパールのカトマンズ南西部にある Bardia Reserve で、John Blashford-Snell は2頭の大きな雄ゾウを発見した。大きい方は地元では Raja Gag(ゾウの王)と呼ばれていた。肩高約3.4m、足跡の直径は57cmあった(Carwardine, 1995)。
2007年12月、バーディア国立公園でも指折りの人気者だった最大級のインドゾウが行方不明になり、関係者を心配させている。このゾウは肩高約3.5m、年齢は70歳以上と推定され、すでに死んでしまった可能性もあるという。
同園の自然保護運動家は「最後にそのゾウを見たときにはやせて自分の体重を支えるのも難しそうだった」としながら「あれほど年を取った動物が生きている可能性はとても低い」と語った(ロイター)。
※ スズメっちさんから知らせていただきました。
肩高(cm) | 場 所 | 備 考 |
---|---|---|
338 | セイロン(1882) | 背中までの高さ358cm、全長792cm、胴回り681cm,推定体重8t |
334 | アッサム(1965) | 前足の周囲166cm |
330 | ベンガル(1870) | カルカッタのIndian博物館に剥製が展示(背中の高さ341cm) |
320 | GaroHills(1967) | 前足の周囲160cm |
292 | − | 全長798cm |
インドネシアのボルネオ島には小型のアジアゾウが生息している。雄で肩高1.7−2.6m(雌は1.5−2.2m)、体重は大きくても2.5t(安間繁樹、2002)。アフリカゾウに対するマルミミゾウ(コビトゾウを含む)に相当するといえる。
森林伐採などで減少し、今では島の北東部に1000頭ほどが残るのみという(熱帯動物図鑑)。
ジャワ島ではゾウは12世紀頃に絶滅している。2008年4月、WWF(世界自然保護基金)はボルネオゾウが、このジャワで絶滅したゾウの生き残りかもしれないと発表している(AFPBB)。
↑日本では広島県の福山市立動物園に雌1頭だけが飼育されている。2003年にボルネオゾウの輸出が禁止されたため伴侶が得られないでいる(読売新聞)。
ジャワで20万年前の古代アジアゾウの完全化石が発見される
インドネシアのジャワで約20万年前の古代ゾウの化石が完全な骨格で見つかっている。専門家はアジアゾウの進化の過程を探る貴重な発見と注目している。現在のアジアゾウよりも大きく、肩高4m以上、体重は10t以上と推定されるという。牙の長さは約2m。
熱帯地方では通常、動物の骨は腐食しやすく、完全な骨格化石の発見例は少ない。同博物館のファルール・アジズ博士(古生物学)は「これまで熱帯地方で発見された古代ゾウの化石の中で最も完全な形で、最も保存状態が良い」と評価している。
化石は2009年3月、中ジャワ州ブロラ県で豪雨により採砂場が崩れて偶然、付近の住民が発見した(よんななニュース)。
この化石は、バンドンのグレゴリー博物館に運ばれた。同博物館にはシノマストドンとステゴドンの骨格が保存されているが、このたび3番目のもっと新しいゾウ、Elephas hysudrindicus が加わることになる。展示用のレプリカが目下、オーストラリアで製作されている(Jakarta Globe)。