地球の歴史上最大の動物は世界の各大洋(主に南氷洋)にすむシロナガスクジラ Blue Whale 。今までに知られる最大(最長)のものは1909年にノルウェーの捕鯨船がサウスジョージアの解体場に運んできた雌で33.6mあった(Guinness World Record)。また、1926年にサウスシェトランド近くで捕鯨された雌は33.3mあった。
 Ivan Sanderson(1969)は最大の記録として34.6mを挙げているが、サンダーソン自身この数字は体の曲線に沿って測定された可能性が高いと考えているようだ。
 この他に、20世紀の前半には体長30〜33mの記録が25ほど数えられる(Gerald Wood, 1972)。
 これらのうち1頭として体重が記録されてはいないが、これらが皆スリムだったとは考えられないので中には200tを超えるものもあったかもしれない。しかし確認することはできない。

 最も重い記録としてよく採り上げられるのは、1947年にロシアの捕鯨船 Slava が水揚げした27.6mの雌で190tもあったといわれる。しかしこのクジラの肉は66t、脂肪が30t、そして骨が26tだったことから190tとの数字はミスプリントかもしれない。
 この時期に南氷洋における捕鯨は隆盛を極めたが、結果としてシロナガスクジラの減少を招き、1957年以降では最大の記録は29.3mにとどまっている。シロナガスクジラの禁漁が決定した1965年には雌の平均が22.3mまで落ちていた。まだ成長しきっていない個体が多く捕獲されたことを窺わせる。

 中生代の恐竜の中にはセイスモサウルスのように長さではシロナガスクジラを上回る(35m)ものもあった。しかしその体重はシロナガスクジラの3分1以下に過ぎない。体重でシロナガスクジラに匹敵する恐竜はまだ見つかっていない。

体長(m)体重(t)備 考
24.495  シロナガスクジラの体重が1頭丸ごと計量された例はない。解体され、肉や脂肪、骨などに分けられてから、個別に量られたものを総計し、さらに流出した血液や体液を6〜8%と仮定して推定する。

 クジラの体重を解体前に秤にかけて計量した例としては、1937年にオランダの捕鯨基地で体長18mのマッコウクジラを3基のクレーンで吊り上げて計ったことがあり、体重は53tだった。
25.088
25.0100
25.3108
26.8114
27.1128
27.1136脂肪32t、肉61t、骨19t
27.2122脂肪27t、肉56t、骨22t
27.7脂肪52t
28.7140脂肪32t
28.9134 
29.5177 


意外にフラットでシンプルなシロナガスクジラの骨格(南極、キングジョージ島)

 下関市立水族館・海響館ではシロナガスクジラの全身骨格標本が展示されている。ノルウェーのトロムソ博物館から貸与されたもので長さ26mある。また和歌山県のくじらの博物館でもシロナガスクジラの骨格(24m)展示が2005年1月から始まった。これもノルウェーから購入したもの。いまのところ日本ではこの2体だけだ。ワシントンのスミソニアン博物館には31mの骨格標本があるそうだ。

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