アフリカハゲコウ

 サハラ以南のアフリカのほぼ全域に分布しているが、東アフリカのサバンナに特に多い。全長1.5mくらいの大きな鳥で翼の長さではワタリアホウドリに次ぐ記録が知られている。高さも1.5mほどある。
 ハゲワシと共に大型動物の死骸に群がることがよく知られているが、屍体ばかり食べているわけではなく、昆虫や魚、カエル、ヘビ、ネズミ、小鳥などを捕食することも多い。飛んでいるツバメをパクッとくわえて食べてしまったことさえある。
 雛や卵をねらってフラミンゴの巣を襲うことも珍しくなく、時には成鳥も殺すことがある。
 ハゲワシ同様に死骸が食べやすいように頭には羽毛がない。特に目立つのが喉にぶら下がっている皮膚がむき出しになった空気袋だ。これが美しいコウノトリと同類とは思えないくらいグロテスクな姿をしているが、当のハゲコウにとってはよけいなお世話だろう。

翼開張(cm) 場 所
254スーダン(Stanley Flower,1900)
268東アフリカ
278ザンビア(1966)
406中央アフリカ(Meinertzhagen ,1934)


 2009年4月2日、アフリカハゲコウが強風に乗じて千葉市動物公園から脱走する騒ぎがあった。職員約20人が長さ10m以上の竿や網などで捕まえようとしたが逃げられてしまった。同園近くのグラウンド内の高木に留まったり、近くのマンション屋上に移動したりと“神出鬼没”。麻酔銃を撃とうとしても気配を察知して逃げるなど職員をてこずらせた。
 逃走中のアフリカハゲコウは雌で全長約120cm、体重6kg前後。人を襲うことはないが、高い所を好む習性がある。脱走防止に片方の翼を切る「仮切り」の状態にしていたが、切った羽が伸びて再生したとみられる(MSN)。
 特に害はないのだから無理に捕まえなくてもそのうち帰ってくるだろうと思うが、公園側としてはそうもいかないのだろう。
 脱走から3日後、発見されたマンションの屋上で鎮静剤入りのアジを与えたが、吐き出して逃げた。その後もアパートや住宅の屋根を転々としたが、薬の効果と疲労のせいか動きが鈍くなり、路上に落ちたところを職員が捕獲した。この1件で有名になった? ハゲコウに名前を付けることになり公募した結果、アフリンに決まったそうだ(毎日新聞)。

※ わたぴーさんから知らせていただきました。


↑水たまりにたたずむアフリカハゲコウ。
一緒にいる小さい2羽はアフリカクロトキ。

オオハゲコウ

Greater Adjutant Stork 全長145cm
 インドからタイ、カンボジアなどの水辺にすむ。
 1913年にインド・ボンベイの Godavari 川流域で翼開張328cmの記録がある。
 インドネシアには小型(全長120cm)の別種コハゲコウ Lesser Adjutant Stork が生息しており、こちらは屍肉食ではないといわれる。

 100年ほど前までは、オオハゲコウは都市の中にも多数生息していたが、今日では水辺でしか見られない。原産地ではこの鳥を飼育して、市街清掃に利用するといわれる。
 また屍体も食べるが、主食は魚やカエル、ヘビなどで魚を捕る時は水かさの減った水たまりや沼で、魚が集まってくるところを探す。採食の時も余り活動的ではなく、水たまりでじっとたたずんでいることが多いが、その姿勢から Adjutant(副官)と呼ばれるのだろうか。
 ハゲコウ類の頭に羽毛がないのは頭部を死体に突っ込んだ時に着くバクテリアを直射日光で消毒するためだと考えられている。


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