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今の世界で最大の鳥類はアフリカのサバンナに棲むダチョウだ。雄は高さ2.4m、体重120kg。雌は高さ2m、体重90kgくらいになる。一説では最高3mに達するといわれるが、確認されたものだろうか? ギネスレコードでは高さ2.7m、体重は156kgとなっている。 ダチョウは最も速く走れる鳥で、最高時速70kmに達する。また15分くらいは時速45km以上で走り続ける。全力で走っている時にはその歩幅は4~7mにもなる。 ハンターの Frederick C. Selous はダチョウをウマで1マイル以上追いかけたことがあるが、追いつくことはできなかった(Frame, 1976)。 グッギィスベルクは時速72kmのランドローバーでダチョウと並走したことがある。ほぼ800m走った後、ダチョウはさらにスピードアップして彼の車の前を横切ったという。 アメリカではダチョウレースが行われていた(今でもあるのだろうか?)。1907年、オハイオの Greenville で Black Diamond という名のダチョウが半マイル(約800m)を1分3秒で走った。時速約46km、もちろん騎手を乗せてのスピードだ(Wood, 1972)。 |
ダチョウは繁殖期ともなると、雄はきわめて危険であるといわれる。求婚期の踊り-翼を拡げてあちこち突進しながら、足を踏み鳴らし、首を大きく振り回して熱狂的に踊る-で自らを鼓舞し、強力な爪の付いた足で蹴りつける。
ドイツのハノーバー動物園では怒ったダチョウが太さ13mmの鉄棒を一蹴りでへし曲げてしまった。 フランクフルト動物園ではダチョウの気分に気がつかなかった飼育係が背を向けている時に蹴られて、鉄条網まで跳ばされてしまった(Grzimek,1970)。 ジャン・ジュータはダチョウが巨大な鉄の爪を備えた足で、イヌを一蹴りでほとんど真っ二つに裂いてしまったのを見たことがある(リーダーズダイジェスト,1966)。 メキシコの Nuevo Laredo 近くにある農場ではダチョウが若いラクダを殺してしまたことがあった(Laycock, 1966)。 1965年、Oudtshoorn で21歳の男性が頭蓋骨をダチョウに蹴り砕かれて死亡している(Clarke, 1969)。 |
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ダチョウは強大だが敵がいないわけではない。チーターはしばしばダチョウを捕らえる。もっともそう多くはないようだ。カラハリでの調査ではチーターの獲物229例のうちダチョウは8羽だった(Mills, 1984)。 Kgalagadi Transfrontier Park で雌のチーターがダチョウに忍び寄るところが目撃された。200mくらいまで近寄り、それより先には身を隠せるものがない所まで来て、チーターはダッシュした。ダチョウはもちろん逃げようとしたが、追いつかれて脚を咬まれ引き倒された。それからチーターはダチョウの喉を噛んで窒息させた。(Lin Kimberley, 2004) Nan Wrogeman の見た例ではチーターはダチョウに追いつくと横側に回り込み、拡げられたダチョウの片方の翼を咬んだ。ダチョウはまだ倒れはしなかったが、チーターは100mほど引きずってからダチョウを地に倒し喉に咬みついた。 |
チーターほど速く走れないライオンがダチョウを獲物にすることはめったにない。しかしナイロビ国立公園ではライオンの食性257例の中でダチョウが6羽入っていたし、クルーガー国立公園では12,313例中、12羽が含まれていた(シャラー, 1972)。うまく忍び寄るのに成功したのだろう。 1911年4月、ケニヤにあったダチョウ園にライオンの群が侵入し、囲いの中にいた51羽のダチョウを皆殺しにしてしまった。(グッギィスベルク, 1961) ダチョウはもちろんライオンを警戒している。雛を持つ雌が近づいてくるライオンに気づいた時、ライオンを誘導するようにして巣から離れた。ライオンはダチョウを攻撃したが、足の速い鳥の後を追うことの無益さを悟るとすぐに諦めた。こうしてダチョウはどうにか雛を救うことができた。 |
ダチョウは通常、1羽の雄と数羽の雌が群を作る。優位の雌は雄が作った巣の中心に卵を産み、その後、ほかの雌たちがその周りに卵を産む。抱卵はほとんど雄がおこなうが、最初に卵を産んだ雌も昼間のほんの少しの間、卵を抱く(今泉忠明)。
ダチョウの抱卵は乾季に行われる。この時期、サバンナの肉食獣は移動した草食獣を追って移動しているので外敵が少ない。乾季が過ぎ、天敵達がサバンナに戻ってきた頃にヒナは巣立ちを迎える(ダチョウのおはなし)。しかし抱卵をしない他の雌達がいるので、抱卵中のダチョウが危険にさらされることは少ないと思われる。複数のダチョウでも手に負えないライオンや群のハイエナが接近してきても逃げる余裕はあるからだ。
※ ダチョウが乾季に抱卵することは上田さんから教えていただきました。
ダチョウはかなり以前から世界各地で飼育されていた。羽毛や皮、肉を得るためである。最近は日本でもあちこちにダチョウ園なるものができて、その肉のおいしさを盛んに宣伝している。低脂肪・低カロリー、そして栄養価が高いと。
ダチョウはあまり利口な鳥とは思われていないようだが、けっしてそんなことはない。南西アフリカでは羊飼いとして訓練されているという。Leonardsville 近くの農場には2羽のダチョウがいて、毎朝ヒツジを連れ出し、日中は牧草地でずっと見張りを続け、夕方になるとヒツジの群を家に引率する。離れそうになったヒツジがいるとつついて群に戻すとか(Frame, 1976)。また南アフリカのダーバンの農場では、穀物を荒らす鳥を追い払うよう教え込まれたダチョウがいる(Wood,1972)。