世界最大の恐竜骨格は、ベルリンのフンボルト博物館にある中生代ジュラ紀後期(15000万年前)のブラキオサウルス Brachiosaurus brancai頭は12mの高さに聳えている。肩までの高さ6m、全長は22mもある。
 この骨格はカーネギーホールのディプロドクス(27m)に長さでは1歩を譲るもののはるかに重量のある体格をしており、ニューヨーク自然史博物館のコルバート(1962)はミニチュアモデルを作り、アリゲーターの幼体(長さ30cm)の比重(0.9)からその体重を78トンと計算した
 コルバートは成体のアリゲーターはより重い骨の構造を持っているので、正確な値は0.9を幾分上回ると見ていたが、そのわずかな誤差を修正するために3mのワニの比重を得るための大仕事は避けたという。
 その後しばらくはこの説が受け入れられてきたが、骨が体を軽くするような構造であるところからこの数字は大きすぎるといわれるようになり、アレクサンダー(1985)はやはりモデルを作り、47トンと推定している

フンボルト博物館の骨格は1909年にドイツの探検隊によって東アフリカの旧タンガニーカで発見された。そして5体分以上の骨を使って実に26年以上もの歳月をかけて組み立てられ、世界最大の恐竜が登場した。
 フンボルト博物館には、同時に発掘されたブラキオサウルスのもっと大きな化石(部分)も保存されており(タンザニアのテンダグルで発見されたブラキオサウルスの化石は34個体にのぼる)、肩甲骨が2.7m(組み立て骨格の方は2.4m)、大腿骨が2.4m(同じく2.1m)もあり、推定全長は25m

フィールド博物館のブラキオサウルス。前にいるのがアフリカゾウ、背面はシロナガスクジラの骨格

 アメリカには別種のブラキオサウルス Brachiosaurus altithorax があり、発見されたのはこちらの方が早く1900年(コロラド)のことである。背骨や骨盤、肋骨などと共に約2mの大腿骨および上腕骨が見つかり、これがシカゴのフィールド博物館のメンバーを驚かせた。当時知られていた(アパトサウルスやディプロドクスなど)他の多くの竜脚類は大腿骨の方が上腕骨より大きかったからである。

 スペインで2005年から始まった発掘で、巨大な竜脚類が発見された。ブラキオサウルスのなかまの新種と考えられているこの恐竜は、かなりの骨が揃っており、しかも繋がった状態であり、生前の姿をかなり正確に復元できると伝えられている。大腿骨は1.8m、肋骨は2.4mもあり、全長25m、高さ11m、体重40tと推定されている。
 年代は白亜紀前期−1億2000万年ほど前−でブラキオサウルスのメンバーとしては例外的であり、発掘に携わる古生物学者は大型竜脚類が少なかった時代の新種の恐竜をブラキオサウルス科に含めるか新たに科を設けるか決めかねている(Telegraph)。

 アメリカのユタ州でブラキオサウルスに近いと思われる竜脚類の化石が発見され、新属新種のアビドサウルス Abydosaurus mcintoshi として2010年2月24日にブリガムヤング大によって発表された。見つかったのは4個の頭骨化石で、いずれも成体になる前の若い個体。このうち2個がほぼ完全だった。白亜紀中期−約1億500万年前の地層からというからブラキオサウルスよりもかなり新しい恐竜だ。
 今回発見された頭骨はいずれも全長8mほどだったとみられる。頭骨の保存状態が良好だった原因は、死後すぐに砂と泥に埋もれたからだ。彼らが死なずに成体になっていれば、約15mに達していただろうという。この4頭がどのように死んだのかはわからないという。おそらく小川に近い小さな谷に身を寄せ合って暮らしていたと思われる(National Geographic)。※ Yamadaさんから知らせていただきました。


 1957年、ポルトガルで巨大な竜脚類の部分的な骨格が発見され、Lapparent と Zybszewski により新種のブラキオサウルス Brachiosaurus atalaiensis として発表された。しかし2003年、さらに新属の恐竜であるとして Teles らによりルソティタンと命名されている(Dixon, 2007)。
 ウルトラサウルスが世界最大の恐竜だった頃、体重ではそれをしのぐポルトガルのブラキオサウルスとしてギネスブックに掲載された。ブラキオサウルスがスリムになった昨今では、体重の見積もりはどうなのか定かではない。全長は25mと推定されており、ブラキオサウルスの大型の個体とほぼ同じだ。

サウロポセイドン Sauroposeidon proteles

 1994年、アメリカのオクラホマの11000万年前の地層からブラキオサウルスに近縁と思われる竜脚類の化石が発見された。首の骨は1.2〜1.5mもあって、これから推定される首の長さは12m以上になる。フンボルト博物館にあるブラキオサウルスの骨格より30%は大きい。ということは全長30m近く、体重は70tを超えていたかもしれない。
 ところでポセイドンとはギリシャ神話に出てくる海の神。ではサウロポセイドンは海の近くに棲んでいたのだろうか? 河口付近に生息してたのではとの説はあるが。
 サウロポセイドンの研究はまだこれからだが、以前にコロラドやユタから見つかっている巨大な足跡化石の主かもしれないとしても注目されている。幅が95〜100cmもある足跡は大型のブラキオサウルスのものらしいとこれまで考えられていた。
 ギネスブック2002には最も背の高い恐竜で高さ18mと紹介されている。これはかつてのウルトラサウルスと同じ数字だ。
 また最近(2002年6月)発売された小学館の図鑑 NEO にも登場しているが、その絵はブラキオサウルスそっくりというかそのままだ。

 1992年にイギリス南部のワイト島でブラキオサウルス、もしくはサウロポセイドンに近い種類と思われる竜脚類の尾の骨が見つかっている。その骨は1個で長さ約75cm、12500〜13000万年前のものである。英 BBC はヨーロッパで発見された中では最大の恐竜化石で、全長20m以上あっただろうと伝えているが、わずか一つの骨でそこまでいいきれるものかどうか。
 これまでイギリスからはケティオサウルス Cetiosaurus oxoniensis やペロロサウルス Pelorosaurus が発見されており、イギリスでは最大の恐竜とされていた。ケティオサウルスは全長18mくらいだったが、1981年にイギリスで、また1979年にモロッコで見つかった化石(断片)からは全長24mに達したと推測された(Guinness Book, 1992)。

BACK