世界最大の恐竜骨格として、長い間カーネギーホールのディプロドクス(1899年発見)とフンボルト博物館のブラキオサウルス(1909年発見)が挙げられていた。この両者で落ち着いていたといえる。それが揺らぎ始めたのは1972年、コロラドで中生代ジュラ紀後期(15000万年前)の竜脚類、スーパーサウルスが発見されてからだ。1979年までの発掘作業で掘り出されたのは2.4mの肩甲骨)、3mもある肋骨、1.5mもある脊椎骨などで、発見者の James Jensen は首の長さ12mと推定した。
 79年にはさらに大きな2.7mもある肩甲骨や首や尾の骨なども見つかりこれこそ最大の恐竜だといわれ、ウルトラサウルスと呼ばれることになった。
 87年にはまたも2.7mの肩甲骨が見つかり、さらに幾つかの尾の骨が追加された。これまではスーパーサウルスは重厚なブラキオサウルスの仲間と考えられていたがこの発見により、もっとスリムで長いディプロドクス、それも特に首の長いバロサウルスに近いと改められた。

 スーパーサウルスは、ディプロドクスやブラキオサウルスと同じく中生代ジュラ紀、およそ1億5000万年前の竜脚類だ。最近再び見直しが行われているが新たな発見があったのかだろうか。今までに見つかっている化石は全身の15%程度だ。ディプロドクス類ではあってもかなりがっしりしたアパトサウルス型と考えられるという。
 幕張の恐竜博2006には、長さ33m、腰の高さ5.3mの骨格が登場した。推定体重は30tくらい。アパトサウルスよりはスリムな体型のようだ(Acantha)。

 ウルトラサウルスは、肩甲骨のほかに首や尾の骨、背骨などが見つかったが、金子隆一氏(2002)によると、これらの骨は、後にスーパーサウルスのものであると断定された。しかし最初に見つかった肩甲骨はブラキオサウルス科に属するものと思われるが、種名は不詳のままであるという。あるいはアメリカ種のブラキオサウルス brachiosaurus altithorax の大型の個体ではなかったか。  1988年の夏、再びスーパーサウルスのものと思しき骨盤が見つかった。しかもまだ発育途上にある若い個体のものらしく成長しきると50mにもなったのではといわれている。この頃、ニューメキシコではセイスモサウルスの発掘がひそかに進行しており、アルゼンチンではティタノサウルス科のものらしき巨大恐竜の発見がなされていた。世界最大の恐竜のタイトルはまだ落ち着き先を決めかねているようだ。

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