1955年11月13日、ハンガリーのハンター Jose Fenykoevi がアンゴラ南東部 Mucusso 付近で非常に大きなアフリカゾウを撃ちとめた。
 肩高401cm、全長1011cmもあった。1959年ワシントンのスミソニアン国立博物館に剥製が展示された。
 昔読んだ少年雑誌にこの剥製がフェニコビ・エレファントとして紹介されていた。人類が見ることのできる最後の巨大生物と題され、高さ4.5m、体重12tと書かれてあった。
 子供心にも訝しく感じたものだが、ゾウは台に載せられていたので、床からの高さだと4.5mくらいかもしれない。また体重は推定である。ただしアメリカでは1トン=2000ポンド(907kg)であるからメートル法でなら約11トンとなる。
 剥製はかなり広いホールに展示されている。一説によると最初ロンドンの大英博物館に展示の話が持ちこまれたが、より広いスペースを提供できるスミソニアンに落ち着いたらしい。


さらに大きなゾウが

 1974年11月7日、またしてもアンゴラの Mucusso の近くでさらに大きなゾウが見つかった。アメリカのハンター Nielsen が撃ちとめたこのゾウは肩高が416cmもあったのだ。全長は1067cm、前足の周囲が180cm。そして体重は推定で12tといわれている。
 アンゴラ南部のゾウが最も大きくなるといわれている。しかし隣国のナミビアのゾウも大きい。特に脚が長いので背が高くなるようだ。1978年4月4日 Sesfontein 近くで巨大なゾウが暴れ、11人を殺し穀物畑に大きな被害を与えた後に射殺された。肩高が442cmもあった。全長は1038cm。前足の周囲が157cmでかなりスマートなゾウだった(推定体重8t)。

肩高(cm)全長(cm)場 所備  考
411ナミビア
396981南アフリカ(1875)胴回り8.5m ?
382913アンゴラ南部(1960)
372ザンベジ(1897)前足の周囲157cm
360中央アフリカ(1969)前足の周囲180cm(特に脚が太かった?)推定体重6.2t
353866ローデシア南部(1960)
345868ニヤサランド胴回り5.3m,剥製は大英博物館に
312767マラウイ胴回り5.4m、雄のほぼ平均サイズ
305715南アフリカ胴回り5.0m、体重4437kg

 肩高は倒れたゾウの肩から足底までの距離を直線で測定する(Between Pegs) 。それにより得られた数値は実際に立っている時より5%ほど増加しているだろうと言われる。ゾウの体重の故にである。しかし生きている野生のゾウの肩高を測定することはまず不可能なのでここでは Between Pegs での測定値をそのまま掲載している。

 野外でゾウの体重を量ることは至難の技であることはいうまでもない。だから大物の記録もほとんどが推定になってしまうのはやむをえない。しかし中には大変な努力をして計量した人もいる。
 アメリカのクライル博士夫妻とヒューレット大尉は1935年12月26日、タンガニーカ(タンザニア)で撃ちとめたゾウの体重を量るにあたりその体を176の部分に切り分けなければならなかった。持参していた秤は一度に600ポンド(272kg)以上は量れなかったからだ。総計は6656kgになった。流出した血液や体液の量を考慮すれば実際の体重は7tくらいあったはずである。
 体重ばかりでなく高さも測定するのは容易ではない。射殺されたゾウの倒れ方によっては肩から足底までの直線距離を測れないからだ。このクライル博士のゾウも同様だったらしく肩高は記録されていない。ただ前足の周囲が152cmだったことから3.3mはあっただろうと推定される。
 1965年、ケニヤで撃たれた大きな雄(肩高346cm)はやはり解体してから計量され6071kgあった。


 昔はアフリカゾウはなかなか動物園では見られなかった。1865年からロンドン動物園に飼われ、1882年にアメリカのサーカスに売られた有名なジャンボはいまだに記録保持者に数えられている。1879年、16歳の時、ジャンボの肩高は328cmだった。その後何度かサイズは公表されたが商売上の理由から誇張されているので信憑性は薄い。死んでからニューヨークのアメリカ自然誌博物館に展示された骨格を測ったところでは高さ318cmだったので生体だとおよそ3.4mと考えられる。体重はいつ測定されたのか定かでないが6.5tといわれている。  スーダンで捕獲され1907年にニューヨークのブロンクス動物園に到着したカートラムという名の雄は1931年(推定28歳)に死んだ時高さ3.3mあった。
 1936−1970年にデンマークのコペンハーゲン動物園に飼われていたテンボは高さ3.3mの入口を通るときに頭を少し下げなければならなかった。また体重は6250kgあったといわれる。
 新しいところではカナダの動物園に肩の高さ3.4m、体重6.5tのアフリカゾウがいる(詳しいことは忘れました)。最近ではアフリカゾウを飼育している所も多くなったので記録はこれから生まれるだろう。

 2007年12月現在、国内では52頭(雄9頭、雌43頭)のアフリカゾウが飼育されている。その中で最大のものはどれなのか定かではないが、姫路セントラルパークにいる雄のヒロ(推定26歳)はその候補に挙がるだろう。サファリパークのスタッフによれば、ヒロは肩高3.3m、体長4.3m、体重は推定で6tもある。1984年に南アフリカから姫路へやってきた。牙も1.2m以上ある。体の大きさは国内でも3本の指に入り、牙に関しては日本一長い個体だろうという。
※ ryoさんに知らせていただきました(具体的な大きさについてはわざわざ問い合わせていただきました)。

 2006年8月8日、多摩動物公園のアフリカゾウ「タマオ」(推定38歳)が死亡した。国内最高齢の雄だった。放飼場で倒れて体を強く打った外傷性ショックが原因だという。
 1971年、タンザニアの飼育場にいた推定3歳の仔ゾウが貨物船で運ばれて多摩動物公園に到着した。この時540kg。
 1990年頃には6tに達し、死ぬ前には7tを超えていた。日本で最大のゾウだったかもしれない。2頭の子を残している(TokyoZooNet)。

※ ryoさんから知らせていただきました。

 雌は雄に比べかなり小さい。平均肩高2.7m、体重3tそこそこと見られる。ウガンダ産では1964年に
 3232kg、259cm
 3133kg、269cm
 2942kg、293cm
などの記録がありこれらは大きい方だとされる。
 ボツワナ産で体重3220kg、全長638cm(尾は109cm)の雌の測定例を Smithers(1971)が紹介している。
 Edouard Foa は1893〜1897年に12頭の雌を撃った。肩高は254−335cm(平均296cm)だったが体重は量れなかった。

 アフリカゾウは(サイやカバ、スイギュウ、ライオンもそうだが)東アフリカのものよりアフリカ南部産の方が一般に大型である。しかし牙は東アフリカのゾウの方が大きい。
 上の Nielsen のゾウの牙は左右の長い方で226cmであり、もう一方は先の方が破損していたため163cm。重さは両方で75kgだった。
 Edouard Foa が1897年にザンベジで仕留めた大きなゾウ(肩高372cm)の牙は長さ259cm、重さが両方で104kgあった。
 南部アフリカで最大の牙は1967年にローデシアで射殺された Dhlulamithi と呼ばれていた巨ゾウ(推定肩高3.7m以上)のもので長さが260cmと232cmあり、重さは両方併せて108kg(ワシントンの南アフリカ大使館所蔵)。
 1980年代に入って、クルーガー国立公園にさらに大きな牙を持つゾウが現れた。
 ジョイ・アダムソンの「野生のエルザ」(統合版、2003)ではエルザ(雌ライオン)は子供の頃、しきりにゾウと遊びたがっていた。ゾウを危険な動物と認識しているアダムソンははらはらしていたが、エルザはゾウを見つけると走り寄っていた。ゾウの方は最初は無視しており、そのうち煩わしくなってその場を離れていった。
 おとなになってからもエルザはよくゾウに近づいて、ゾウの群の前にわざと立ちはだかったりしていた。人手で育てられた故か、他のライオンでもあることなのかはわからないが、たぶんに子供心が抜けていなかったように感じられる。ゾウはうるさがったり無視したりしながらも決して攻撃的な態度はとらず、行く手を遮るライオンと睨み合いの後、後退していく。ここにはアフリカゾウのゆとりというか、寛容なところを感じずにはいられない。


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